鋼製原子炉格納容器の振動解析

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  • OVALING VIBRATION ANALYSIS OF NUCLEAR STEEL CONTAINMENT VESSEL
  • コウセイ ゲンシロ カクノウ ヨウキ ノ シンドウ カイセキ

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抄録

本論では初めに, 鋼製原子炉格納容器を対象として, 軸対称シェル構造物の任意位置に集中付加重量が存在した場合の振動解析法について述べた。本解析法の特徴は以下の通りである。(1)軸対称シェル要素には, ドーム等の母線方向の曲面をよく表現できる曲面シェル要素を用いている。(2)軸対称固有値解析は, 精度の良い解を能率的求められるサブスペースイテレーション法により解析する。(3)シェルと付加重量のひずみ・運動エネルギーに対し, Lagrange式を適用することにより, 軸対称モードの重ね合せで連成固有モードを得る。(4)連成固有モードを用いた時刻歴モーダル解析により強制振動解析を行い, 各部の時刻歴応答を求める。次に, 解析例として, 2つのエアロックを集中重量に考慮した鋼製格納容器の振動解析を行った。その結果, 以下の事が判明した。(1)格納容器は, エアロックの付加重量によりビーム振動に高次のオーバル振動が連成した複雑な振動モードをもつ。(2)定常水平振動に対して, 種々のオーバル振動が連成することにより, エアロック部は広い振動数領域で多くの共振ピークをもつ。特に, エアロック部の局部振動のピークが顕著に現れる。(3)ランダム地震動に対して, エアロック部の時刻歴応答は局部振動周期が卓越し, その時の格納容器の振動モードは種々の高次のオーバル振動が連成した複雑な形をしている。等が, 本解析により明らかとなった。以上の事から, この種の構造物の地震時挙動の評価には, ビーム振動に加え局部振動および高次のオーバル振動の考慮が重要であることが示され, これらに対して本論で述べた一連の解析法は有用な一手法であるとものと考える。

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