炭素繊維補強コンクリート (CFRC) の実験的研究 : その 1 CFRC が純引張応力を受けた場合の挙動について

書誌事項

タイトル別名
  • EXPERIMENTAL STUDY OF CARBON FIBER REINFORCED CEMENT COMPOSITES
  • 炭素繊維補強コンクリート(CFRC)の実験的研究-1-CFRCが純引張応力を受けた場合の挙動について
  • タンソ センイ ホキョウ コンクリート CFRC ノ ジッケンテキ ケンキュウ

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説明

本実験結果をまとめて以下に述べる。1) ピッチ系炭素繊維を3〜5°/volセメントマトリックス中に混入することにより, 引張強度で80〜140kg/cm^2, 引張ひずみ能力で11000×10^<-6>前後と, 非常に延性, 靱性に富んだ複合材料が得られる。2) CFRCの引張強度(σ_<t・max>)は繊維混入率(V_f)が限界繊維混入率(V_<f(crit)>)以下の場合は, 繊維とマトリックスの複合則式によってほぼ推定できるが, V_<f(crit)>を超えた領域での推定式は, 単にV_fのみの関数として表わされる。ただし, 実際に混入した繊維の何%が有効に働くかは, CFRCの製作条件や, V_f値によって大きく変化するから, その都度, 実験的に有効率を確認する必要がある。3) ハンドレイアップ法によって製作した今回の連続繊維補強CFRC供試体の場合, 初期弾性係数や初きれつ強度などの低応力レベルの範囲での特性に関しては, 実験値と理論値とが, かなり良く一致しており, 実際に混入された繊維の大半が, この応力レベルでは有効に補強効果を発揮したと推測される。しかし, 応力レベルがさらに高くなると, この繊維の有効率は低下し, 終局引張強度時には, 実際に混入した繊維の25〜60%程度しか有効に働かなかった。この高応力レベル段階での繊維有効率の低下は, 混入された繊維のうち, マトリックスとの付着の弱いものが応力レベルの上昇に伴い, 次々とその付着力を失なってゆき, マトリックスとの一体性が保てなくなっていった繊維が増加した結果によると考えられる。4) セメント系繊維複合材の強度や変形特性に関する既往の各種理論式と本実験結果とを比較検討した結果, J. Avestonらが提案した理論式を, 前記の繊維有効率α, またはβによって補正することにより, CFRCの理論式として使用が可能である。 なお, 以上述べたごとく, CFRCは従来のコンクリートに比べて引張強度や伸びひずみ能力などの性質が, 著しく優れているため, このCFRCの特性を生かして, 今後は軽量外壁や軽量床板への利用が考えられる。最後に本研究を進めるに当たり, 御指導くださった亀田泰弘博士に深謝の意を表します。

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