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筋力増強運動の期間が萎縮筋の筋線維の太さや数,筋核数に与える影響
Description
【目的】筋萎縮を早く回復させることは理学療法にとって重要な課題である。これまでに我々は、14日間の尾部懸垂による筋萎縮モデルマウスに対して、オペラント学習法による筋力増強運動を7日間行ったところ、筋線維横断面積が普通飼育より早く回復し、筋線維内に存在する核の数(筋核数)が正常以上に増加することが明らかにした(第45回理学療法学術大会)。この結果は、筋力増強運動が筋萎縮の回復を促進することを裏付けるが、7日目よりも早い時期にどのようなことが起こっているかは不明である。また、短い運動期間で7日間の運動と同程度の効果が得られた場合、効率的な運動処方の検討ができるかもしれない。そこで本研究は、4日間の筋力増強運動による筋線維の太さや数、筋核数の変化を明らかにするとともに、4日間運動した後、3日間運動しない場合、7日間の運動に比べ、回復効果が異なるかどうかを調べた。<BR>【方法】対象は10週令のICR雄性マウスとした(n=36)。まず、7日間のオペラント学習法により自発的な立ち上がり運動を学習させた後、後肢筋を萎縮させるために、尾部懸垂を14日間施した。尾部懸垂後、筋力増強運動として学習した立ち上がり運動を、1日50回を2セット、4日間行った(4dT群)。このマウスからヒラメ筋を剖出、凍結横断切片を作製し、抗Dystrophin抗体及びDAPIを用いて染色した。この染色像から、全筋線維の横断面積と数、筋核数を測定した。また、その測定値から、筋線維1本あたりの筋核数を算出した。一方、4日間の筋力増強運動後、3日間普通飼育し(4dT+3dNT群)、尾部懸垂後7日間筋力増強運動を施す群(7dT群)と比較することで、尾部懸垂後4日目から7日目の筋萎縮回復効果を比較した。なお対照群として、尾部懸垂後4日間普通飼育する群(4dNT群)、7日間普通飼育する群(7dNT群)、尾部懸垂も運動もしない群(CON群)も作製した。群間の比較には、一元配置分散分析及びBonferroni法を用い、有意水準を5%未満とした。<BR>【説明と同意】本実験は、名古屋学院大学及び名古屋大学動物実験委員会の承認を得て行った。<BR>【結果】4dT群の筋線維横断面積(1141±260μm 2)は、4dNT群(897±111μm 2)に比べ有意に大きかった。なお、4dT群は、CON群(2005±197μm 2)より有意に小さかった。4dT群の筋線維数(545±62.7)は、4dNT群(577±101)、CON群(589±60.1)と有意な差はなかった。一方、4dT群の筋線維1本あたりの筋核数(0.91±0.24)は、4dNT群(0.58±0.07)、CON群(0.56±0.1)より有意に大きく、7dT群(0.91±0.14)と同程度であった。<BR> 4dT+3dNT群の筋線維横断面積(1222±400μm 2)は、7dT群(1843±195μm 2)に比べ有意に小さかった。また4dT+3dNT群の筋線維断面積は、CON群よりも有意に小さく、7dNT群(1315±153μm 2)と有意な差がなかった。一方、4dT+3dNT群の筋線維数(733±64.0)は、7dT群(601±124)より多いものの、有意な差はなかったが、7dNT群(583±116)より有意に多かった。4dT+3dNT群の筋線維1本あたりの筋核数(0.57±0.13)は、7dNT群(0.57±0.03)やCON群とは有意差がなく、7dT群よりも有意に少なかった。<BR>【考察】これまでの研究から、萎縮した筋に筋力増強運動を7日間行うと、筋線維の太さが通常より早く元の太さに回復することがわかっている。今回の4日間の運動では、正常な太さにまでは至らなかったが、回復促進効果は認められた。一方、尾部懸垂により減少した筋線維数は、運動開始4日目には正常な数にまで達することがわかった。正常な筋に運動を負荷した場合、筋が太くなり始めるのは運動開始20日以降といわれている。しかし、本研究結果では、数日のうちに筋線維の太さや数の変化が起こっており、萎縮した筋に対する筋力増強運動の効果やメカニズムは、正常な筋に対するものとは異なることが考えられた。<BR> また、4日間の運動後3日間運動を行わない場合、筋線維の太さの回復は停滞し、筋線維1本あたりの筋核数は減少することがわかった。これにより4~7日目の運動の継続が重要であることが裏付けられた。しかし、4日間運動しその後3日間運動しない場合でも、筋線維数は7日間運動しない群に比べて26%増加した。更なる検討が必要ではあるが、筋力増強運動と休息を上手に組合せれば、筋線維数を増加させる方法の開発やそのメカニズムの解明に利用できるかもしれない。<BR>【理学療法学研究としての意義】本研究を発展させれば、萎縮筋に対して有効な筋力増強運動の期間や方法の再考に繋がり、ヒトに対する効果的な運動方法の開発へ萌芽できる。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2010 (0), AbPI2065-AbPI2065, 2011
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680547831296
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- NII Article ID
- 130005016605
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed