後足部アライメントと前足部可動性の関連性について

  • 對馬 史織
    弘前大学医学部保健学科理学療法学専攻
  • 尾田 敦
    弘前大学医学部保健学科理学療法学専攻 弘前大学大学院保健学研究科健康支援科学領域
  • 成田 大一
    弘前大学医学部保健学科理学療法学専攻 弘前大学大学院保健学研究科健康支援科学領域
  • 高橋 信人
    弘前大学大学院保健学研究科総合リハビリテーション科学領域 津軽保健生活協同組合健生病院リハビリテーション科
  • 石川 大瑛
    弘前大学大学院保健学研究科総合リハビリテーション科学領域 大館市立総合病院リハビリテーション科
  • 小泉 沙貴
    弘前大学医学部保健学科理学療法学専攻
  • 鈴木 一史
    弘前大学医学部保健学科理学療法学専攻
  • 大森 俊輔
    弘前大学医学部保健学科理学療法学専攻

Description

【目的】<BR> 前足部の可動性は、姿勢制御や衝撃吸収において重要な役割を果たしている。一般的に、前足部の可動性は距骨下関節肢位の影響を受けるといわれているが、実際にこれを証明した報告はない。そこで、本研究の目的は距骨下関節肢位(後足部アライメント)と前足部の可動性との関連性を明らかにすることである。<BR>【方法】<BR>弘前大学に在籍する健常大学生18名36脚(男13名、女5名、平均年齢22.1±3.9歳、平均身長170.1±9.9cm、平均体重60.1±9.7kg)を対象として、後足部を中間位、最大内反位及び最大外反位にした場合の3条件での前足部の回内外可動範囲を測定した。後足部の最大内反角度、最大外反角度は、以下の4つの手順に従って決定した。(1)立位にて下腿遠位1/3の中点、アキレス腱付着部の中点及び踵骨遠位端の中点にマーキングを行った。(2)腹臥位で股関節内外旋中間位、足関節底背屈中間位にて、後足部を内反、外反へ他動的に動かし、(1)のマーキングを指標に、下腿遠位1/3の中点とアキレス腱付着部の中点を結ぶ線(下腿長軸)と、アキレス腱付着部の中点と踵骨遠位端の中点を結ぶ線(踵骨長軸)とのなす角度をプラスチック製ゴニオメーターを用いてそれぞれ3回ずつ測定し、平均値を採用した。(3)前額面における立位姿勢を後方からデジタルカメラで撮影し、床面への垂直線に対する下腿長軸の傾きを撮影処理により求めた。(4) (2)の平均値と(3)の値から床面への垂直線を基準線とした後足部の最大内反角度((2)+(3))、最大外反角度((2)-(3))を求めた。次に、前足部の回内外可動域の測定を自作の測定器を用いて行った。この測定器は、縦15cm、横20cmの2枚の板を前後に並べたもので、板の横幅の中央を軸としてそれぞれの板が前額面上で動く構造になっている。被検者には端座位をとらせ、下腿が床面に対して常に垂直になるよう固定した。測定器の板の境目に足根中足関節をあわせて足部を乗せ、後方の板で後足部の内外反角度を決定する。前方の板を他動的に動かし、end feelを感じたところで前方より写真撮影を行った。このとき、踵が板上から離れないよう徒手的に固定した。前足部の回外角度と回内角度は2枚の板のなす角度とし、画像処理により求め、回外角度と回内角度を合計した値を前足部の可動範囲とした。得られた前足部の可動範囲を、後足部の肢位による3条件(中間位、最大内反位、最大外反位の3条件で比較した。統計処理には、Tukey検定を用い、有意水準は0.05とした。<BR>【説明と同意】<BR>すべての被検者には本研究の趣旨と方法について事前に説明し,研究協力への同意を得た。<BR>【結果】<BR> 前足部の平均可動範囲は後足部中間位で37.2±7.1°、最大内反位で37.0±8.2°、最大外反位で43.3±8.8°であった。後足部最大外反位と後足部中間位では前足部の回内外可動範囲に有意差は認められなかったが、後足部外反位と内反位、後足部外反位と中間位ではそれぞれに有意差が認められ(p<0.01)、回内位で有意に前足部の可動範囲が大きかった。<BR>【考察】<BR> 後足部は横足根関節を介して前足部に作用し、足部の可動性と固定性に関与しており、後足部内反位で強固に、外反位で柔軟になるといわれている。本研究の結果では、後足部内反位・中間位と比較して外反位で有意に前足部の可動範囲が増加した。このことから、後足部アライメントを他動的に変化させた場合、前足部の可動性も変化することが明らかとなり、後足部アライメントが、前足部の可動性に影響を及ぼす因子の一つであることがわかった。前足部の可動性は姿勢制御や衝撃吸収に関与していると考えられるため、今後、この関連性を明らかにしていきたいと考えている。よって、この関連性を明らかにする前段階として、前足部の可動性の評価方法や影響を与える因子についてさらに検討していく必要がある。<BR>【理学療法研究としての意義】<BR> 前足部の可動性は姿勢制御や衝撃吸収に関与していると考えられるため、足部を主とした障害や障害予防へアプローチしていく上で非常に重要である。本研究の結果は、足底挿板療法の適応方法を考慮する上でも貴重なデータであり、足部のみならず上部体節を含めた姿勢制御能の向上に向けた理学療法の展開における手掛かりの一つとなるのではないかと考える。<BR>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680547966080
  • NII Article ID
    130005017385
  • DOI
    10.14900/cjpt.2010.0.cdpf1032.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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