日本人理学療法士の海外留学経験について

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  • 日本理学療法士協会国際部のアンケート調査より

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【目的】近年、国際化が進み、日本人理学療法士の国際活動への積極的な関わりがより求められてくるようになった。国際化を推進する一方法として、海外留学が挙げられる。本研究の目的は日本人理学療法士の海外留学経験についての特徴を明らかにし、理学療法関連の臨床家、教育者、経営関係者、政策決定者等へ対して有益となる情報を提供する事である。<BR>【方法】海外留学経験がある日本人理学療法士に、郵送又はメールにて自己回答式による記述式アンケート調査を配布し、その回答結果をまとめた。アンケートは、日本理学療法士協会国際部が把握している海外留学経験者全てに配布された。アンケート内容については、日本理学療法士協会国際部部員が独自のものを作成した。アンケート配布から回収期間は2009年1月から2010年8月までであった。<BR>【説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言にのっとり、研究内容についてはアンケート配布時に十分な説明がなされ、アンケート返信時に、個々の回答者より研究協力への同意を取得した。個々の情報はIDにて管理され、個人情報管理に対して十分な配慮がなされた。<BR>【結果】12名へのアンケート依頼が実施され、10名より回答を得た。最も割合の多かった留学先は、米国で、続いてオーストラリア、デンマーク、ドイツと続いた。5名が修士課程を卒業し、1名が博士課程を卒業していた。英語能力としては入学前のTOEFL平均値がPaper based試験で482点、入学直前は535点、に留学修了時は570点だった。学費は7名の回答者が自己負担で全額を支払っており、1名は国費、1名は公費、1名は一部公費と、3名が何らかの形での奨学金を取得していた。学費の平均費用は582万円であったが、個々によってばらつきがあり、200万円前後から1000万円以上学費が掛かる場合もあった。留学後、8名が帰国し、3名が日本国内の教育機関、4名が国内病院、1名が米国病院に勤務しており、1名が米国教育機関に在学中、1名がアンケート時点で求職中となっていた。<BR>【考察】本研究では、サンプル数が限定されていたため、一般的な傾向を断定を出来ないが、アンケート結果より、日本人理学療法士の留学先として最も人気だったのは米国かつ修士課程であるという傾向が分かった。一方で、高い英語能力獲得と相当の留学費用調達が必要とされ、これらの要因が留学実現に関して大きな障壁となっている可能性が示唆された。英語力強化と資金調達という問題への対処は、日本人理学療法士の海外留学促進への解決策となる可能性が考慮された。また、留学後は多くが帰国しており、就職先としては、病院が最も多かったが、教育機関でも一定の割合がみられ、様々な進路がある事が示唆された。また、実際の就職後の満足度、年間収入等を調べる事で、留学経験がキャリアに及ぼす影響を検討する事が必要であると思われた。<BR>【理学療法学研究としての意義】世界的な国際化の流れの中で、日本人理学療法士の欧米や発展途上国諸国での国際活動促進は重要な課題である。日本人理学療法士の海外留学経験について総合的にまとめた研究は本研究が初めてである。今回の研究に引き続き、さらなるアンケート対象者を増やし、より詳細な全体と個々の傾向を把握していくことが重要である。本研究からの知見が、今後、日本人理学療法士の国際化を促進するうえで、臨床家、教育者、経営関係者、政策決定者等にとって有益な情報になると考えられる。<BR>

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