成績不振学生に対する学習習慣改善の取り組みと学習時間に関するアンケート調査について

DOI
  • 黒後 裕彦
    東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
  • 高橋 一揮
    東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻

抄録

【はじめに、目的】 学習習慣の改善をするため低学年を対象に目標設定と学習計画表の作成、授業記録の作成などの取り組みを行った。同時に学習時間に関するアンケート調査を実施して検討した。【方法】 昨年度の成績が不振であった理学療法学専攻2年生のうち15名を対象とした。まず、新学期の開始時に今学期の目標設定を行った。具体的な内容となるように作成し1ヶ月後に再考のうえ最終決定とした。同時に学内、自宅での学習とバイトの予定を30分単位で記入した学習計画表を作成した。また、履修している科目ごとに10行程度の講義記録を作り、それをもとに週に一度、学生同士の検討会を行った。効果判定として学習時間の調査と目標達成の満足度などに関するアンケートを7段階評価で行った。【倫理的配慮、説明と同意】 アンケート調査は、対象者に事前にその目的を説明し同意の上で行った。【結果】 学習時間に関しては新学期開始時が1.1±0.7時間から1か月後が3.4±1.8時間と有意に多かった。前期試験直前は5.0±1.4時間であった。前期試験終了後に行ったアンケート(7段階評価)では前期成績の満足度は3.8±2.1で、前期目標達成は3.6±2.0、勉強習慣が身に着いたと思うかでは5.2±1.1であった。今後、日常的に行う学習時間はどの程度必要と思うかでは4.4±1.5時間であり、それを達成する自信は7段階評価で4.9±0.9であった。前期の施行期間中に進路変更の申し出が3名あった。【考察】 1学習習慣改善の取り組みについて 目標の設定では あいまいな表現が多かったため、達成の有無が判断できる具体的な内容で作成してもらった。高すぎる目標などもあったが1か月後の再設定時では改善がみられた。また、学習計画表の作成においては、たとえば授業時間以外をすべてバイトとして提出した学生に対して学習とそれ以外の活動とのバランスを考えた上での再提出を促したりした。このように目標設定や学習計画の作業を通じて今後の結果次第では進路について再考しなければならないことや、現在の学習活動について見直す機会となったようである。講義記録に関しては開始当初は作成に苦労していたが、次第になれてきて、その重要性を再認識したように思われた。さらに学生同士での講義記録の確認を行ったが、そこでは相互学習の機会がふえ動機づけの点でも有効だったと思われた。アンケートにおいて学習時間を調べると試験直前ではない時期での学習時間が向上していた。これは今述べてきた取り組みが相互に影響したためと推察した。これからの課題として学習時間の継続性をどのようにしていくか、質的な向上を図るにはどうしたらよいかを検討することが挙げられる。2 学習時間アンケートについて アンケートを用いて学習時間を調べる方法は簡便で短時間で済み、多数の学生を対象にしても容易に行え、極端に少ない学習時間数を記載した学生では、この情報をもとにした指導なども行いやすい。また目標達成の満足度は高くなかったが、「日常的に行う学習時間はどの程度必要と思うか」という質問で答えた時間よりも実際の学習時間は少なかったので、そのため満足度が高くなっていない可能性があると考えられた。このようにアンケートで学習時間を調べることは容易でシンプルではあるが、学習状況の把握や解釈などに活用できる有用な方法ではないかと思われた。【理学療法学研究としての意義】 理学療法学専攻に在籍する学生の学習習慣を確立する上で、目標設定や計画の作成、授業記録の作成は有意義であった。また、学習時間に関するアンケート調査は簡便で指導資料や学習習慣の把握の一助となる可能性が示唆された。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2011 (0), Ga0188-Ga0188, 2012

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680548937600
  • NII論文ID
    130004693682
  • DOI
    10.14900/cjpt.2011.0.ga0188.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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