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距骨下関節誘導が歩行時の機能的脚長に与える影響
Description
【はじめに、目的】歩行における左右の非対称な骨盤の高さ(以下機能的脚長差)は、流動性のある歩行を阻害するため左右の機能的脚長を合わせることが重要となる。臨床では数ミリの機能的脚長差を補正することで、脚長差による障害が改善されることがある。我々は第47回日本理学療法学術大会において、距骨下関節回内外誘導が静止立位時の機能的脚長を変化させることを報告した。距骨下関節回外誘導は機能的脚を延長し、回内誘導は機能的脚を短縮させることが明らかになった。立位では距骨下関節誘導による機能的脚長を補正可能であったが、歩行時の機能的脚長に与える影響はまだ明らかになっていない。本研究の目的は、距骨下関節回内外誘導が歩行時の機能的脚長に与える影響を検証することである。【方法】本研究の対象は、既往に整形外科的疾患を有さない健常成人20名とした。内訳は男性10名、女性10名、年齢は19.7±1.3歳、身長166.7±6.9cm、体重58.5±8.2kgであった。方法は、裸足歩行時の機能的脚長を三次元動作解析装置Mac 3D system(Nac社製)で測定した。機能的脚長は上前腸骨棘から床まで垂直に下ろした線分の長さと定義した。マーカーの貼付部位は右上前腸骨棘とし、全例において右下肢の機能的脚長を測定した。歩行周期における3時期(踵接地、立脚中期、足尖離地)を床反力計から同定し、各時期の機能的脚長を測定した。距骨下関節誘導なし(誘導なし群)・回外誘導(回外誘導群)・回内誘導(回内誘導群)の3条件にて10m裸足歩行を3回行った。1歩行周期における各時期の機能的脚長を算出し、その平均値を解析データとして用いた。距骨下関節の誘導には50mm幅のエラテックステープDE-50(ドレイパー社製)を用い、測定する右足部のみにテーピング誘導を行った。距骨下関節の誘導は、入谷の距骨下関節誘導テーピングに従って、熟練した同一検者が臨床で行う距骨下関節誘導と同様に、強度も同程度となるようテーピングで固定した。統計的手法はSPSS Ver12.0を使用し、各時期における機能的脚長を一元配置分散分析にて3群間を比較した。また、有意水準を1%とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者には研究の趣旨と内容、方法を十分に説明し、得られたデータは研究の目的以外には使用しないこと、および個人情報の漏洩に注意することについて説明し、同意を得た上で研究を開始した。【結果】歩行時の機能的脚長は、踵接地では回外誘導群835.0±34.7mm、誘導なし群829.2±34.5mm、回内誘導群826.2±34.9mmであり、3群間に有意な差がみられた。立脚中期では回外誘導群867.5±33.1mm、誘導なし群862.5±33.2mm、回内誘導群859.3±32.6mmであり、3群間に有意な差がみられた。足尖離地では回外誘導群828.6±34.7mm、誘導なし群827.7±32.6mm、回内誘導群826.3±32.6mmであり、3群間に有意な差がみられなかった。踵接地、立脚中期では誘導なし群に比し回外誘導群では機能的脚を延長し、回内誘導群では機能的脚を短縮する結果となった。足尖離地では、3群間において機能的脚長に差はみられなかった。【考察】先行研究において静止立位時の機能的脚長は、距骨下関節回外では踵骨が直立化することから機能的脚が延長し、距骨下関節回内では踵骨が内側に倒れることから機能的脚が短縮するのではないかと報告した。本研究においても踵骨肢位の変化によって、踵接地、立脚中期ともに距骨下関節誘導なし群に比し、回外誘導群では機能的脚を延長し、回内誘導群では機能的脚が短縮する結果となったと思われる。この結果より距骨下関節誘導において機能的脚長は、踵接地から立脚中期までは補正可能であると示唆された。しかし、足尖離地の機能的脚長は、距骨下関節誘導によって影響されず、個々によってばらつきがみられた。これは踵離地後、個々によって足関節底屈角度の違いなど様々な要因で足尖離地時の機能的脚長が変化するのではないかと考える。立脚中期以降で機能的脚を補正できない症例は、中敷きやアウトソールなどで前足部を補高する必要があると考える。臨床において歩行時の機能的脚の短縮で問題になる場面は、特に踵接地から立脚中期にみられることが多い。そのため距骨下関節誘導にて補正できる範囲であれば、これらの時期の機能的脚長を補正することで歩容が改善できると思われる。また機能的脚長を補正することで歩行の流動性も改善できるものと考える。【理学療法学研究としての意義】歩行時の踵接地から立脚中期における機能的脚長は、距骨下関節の誘導によって改善できる。距骨下関節誘導にて理学療法士が臨床でも簡便に機能的脚長の補正ができると考える。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012 (0), 48100839-48100839, 2013
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680549132800
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- NII Article ID
- 130004585251
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed