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心不全増悪により再入院した患者の傾向と再入院までの期間に関与する因子の検討
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【はじめに、目的】 心不全は循環器疾患の最終像であり、再入院を繰り返すことで患者のADL・QOLを著しく損なう。心不全に対する心臓リハビリテーション(以下心リハ)は運動耐容能やADLを改善し、また繰り返す再入院を予防することが報告されているが、中には心リハの有無にかかわらず退院早期に再入院する心不全患者が少なくない。そこで今回、退院後早期に再入院した患者の傾向と再入院までの期間に影響を及ぼす因子について検討することとした。【方法】 2009年10月から2012年4月までに心不全増悪により当院に入院した患者で、心リハを施行した患者49例と、心リハを施行しなかった患者46例の計95例(男性57名、女性38名、平均年齢77.1±13歳)を対象とした。調査項目は年齢、性別、家族構成、基礎心疾患、既往歴、喫煙歴、飲酒歴、入院期間、再入院の有無、再入院までの日数、入院時のSpO2、入院時・退院時血液検査データ(血漿BNP濃度、ヘモグロビン濃度、血清クレアチニン濃度)、入院時・退院時心胸郭比、左室駆出率とし、心リハ施行例では心リハを実施した期間と退院時の運動到達度(歩行可能距離)を加えて、診療録より後方視的に調査した。95例中、180日以内に心不全増悪により再入院した57例を再入院群、180日以上再入院しなかった38例を非再入院群とし、2群間で比較検討した。年齢、入院期間、再入院までの日数、入院時・退院時検査データ、左室駆出率をMann-WhitneyのU検定を用いて分析した。性別、家族構成、基礎疾患、既往歴、喫煙歴、飲酒歴、再入院の有無についてはχ²検定を用いた。さらに心リハ施行群と非施行群の2群間で基礎疾患、入院日数、再入院の有無、再入院までの日数、各種検査データを同様の方法で比較検討した。また、再入院までの日数と各因子との関連をSpearmanの順位相関関係係数を用いて分析した。危険率5%未満を有意水準とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は後方視的に行ったもので、倫理的配慮としてすべての患者名を匿名化し、個人が特定できる情報を削除した上でデータを使用し検討を行った。【結果】 再入院群と非再入院群の2群間で有意差を認めた項目は、虚血性心疾患の既往(p<0.01)、貧血の有無(p<0.01)、退院時のBNP濃度(p<0.001)、退院時の心胸郭比(p<0.05)、退院時の運動到達度(p<0.01)であった。再入院までの日数と各因子との関係に関しては、退院時BNP(rs=-0.26、p<0.05)と退院時血清クレアチニン(rs=-0.32、p<0.01)にそれぞれ負の相関関係を認めた。心リハ施行群と非施行群の2群間の比較では入院期間にのみ有意差が認められ、再入院の有無や既往歴、その他の検査データには有意差は認められなかった。【考察】 退院後心不全増悪により再入院した患者は、虚血性心疾患と貧血を有している割合が高く、退院時のBNPが高値で、心胸郭比が増大している傾向にあった。内山らは最終的に再入院を規定する因子は心機能であると考えられ、その中でも安定期のBNPが良い指標であったと述べている。今回の研究でも、比較的状態が安定している時期である退院時のBNPが最も有意な因子であった。また、再入院までの期間に関しては、BNPや血清クレアチニンが高値である患者ほど早期に再入院する傾向にあった。今回心リハ施行群と非施行群において再入院の有無や、再入院までの期間に有意差を認めなかった。これらの事より、心リハの有無に関わらず、心機能と腎機能が再入院の有無や再入院までの期間に影響を及ぼしている可能性が示唆された。今後さらに詳細に調査し、検討していきたい。【理学療法学研究としての意義】 本研究は再入院した心不全患者の傾向と再入院までの期間に関与する因子を検討した。今後さらに心不全再入院の予測因子を明らかにすることで、心リハ介入の一助となると考えられる。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012 (0), 48100402-48100402, 2013
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680549209216
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- NII Article ID
- 130004584919
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed