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大腿骨頸部骨折に対し骨接合術を施行した患者の再手術と術後成績
Description
【目的】大腿骨頸部骨折における骨接合術の施行症例数は,年々増加の傾向にあり,治療成績も良好であるとの報告が数多くなされている.一方,整復位破綻や骨頭壊死による再手術も危惧されており,我々も一昨年の日本理学療法学術大会において,再手術に関する傾向につき報告を行った.しかし,再手術に関する報告は, 骨接合術の治療成績の報告の中に,合併症発生率や再手術の方法などがわずかにふれられている程度であることが多く,さらに再手術後の歩行能力や退院先などに関しての報告はほとんど見られないのが現状である.<BR>そこで今回,再手術にいたる経過に加え,再手術における入院期間,術後歩行能力,退院先などにつき調査検討を行ったので報告する.<BR>【対象】2003年1月から2008年3月までに大腿骨頸部骨折にて骨接合術を施行し,その後整復位破綻及び骨頭壊死にて再手術を受けた者の中から,1.初回手術後に自立した歩行能力を獲得できていた,2.初回手術後にADLが自立していた,3.再手術までに転倒などの経験がない,4.著明な身体・精神機能異常を有しない,以上の条件を満たす25例を有意抽出し対象とした. その内訳は,性別:男性3例,女性22例.平均年齢:74.4±11.7歳.Garden分類:安定型(II)7例,不安定型(III,IV)18例.手術方法:ハンソンピン19例,Dual S C 6例.初回手術後の平均在院日数:22.6±8.7日.退院時歩行能力:杖17例,バギー8例である.<BR>【方法】検討項目は,1.再手術に関して:再手術の原因,症状出現までの日数,2.再手術後に関して:手術方法,術後在院日数,術後歩行能力,退院先,とした.<BR>【説明と同意】今回の調査においては,患者本人に口頭にて説明を行い,同意を得た者のみを調査対象とした.<BR>【結果】再手術に関して:原因は,整復位破綻12例,骨頭壊死13例で,症状出現までの日数は整復位破綻52.8±26.6日,骨頭壊死240.8±112日であった.再手術後に関して:手術方法は,人工骨頭挿入術11例,全人工股関節置換術14例で,再手術における術後在院日数は26.3±6.5日であった.退院時歩行能力は杖18例,バギー7例,退院先は再入院時の居住環境に戻った者15例,転院10例であったが最終的には全例再入院時の居住環境に戻れていた.<BR>【考察】一般的に外来通院でのリハビリは,在宅での歩行能力が安定し、ADLが自立した段階で終了とすることが多い.しかし,今回の結果である合併症の発生期間を考慮した場合, 少なくとも1年以上の長期経過管理が,骨接合術を施行した全患者に必要であることが示唆された..<BR>再手術後の歩行能力に関しては,術前の歩行能力が良好であれば再獲得の可能性は十分にあることがわかった.しかし,骨折後の患者の生活においては,再転倒をおそれ,回避するために外出を控えるようになったり,それまで行っていた仕事や趣味を中断したりするなど,活動量低下をきたす者も少なくない.さらに患者が高齢化するほどこの傾向は顕著となることが予想でき,高齢者骨折における運動機能の維持・改善は容易ではない.よって,今後我々は在宅運動指導の方法や,運動継続への意欲を高めるにはどうしたらよいかなどを入院中から十分に思慮する必要があると考えられた.さらに,リハビリ外来通院回数や期間の考慮,介護保険の積極的利用などの対策も同時に考えていく必要があると思われた.<BR>再手術となっても歩行能力が再獲得できるからと,骨接合術を安易に施行していいことには決してならない.しかし,大腿骨頸部骨折患者のさらなる増加と,手術対象者のさらなる高齢化が押し寄せてきている現状において,侵襲性が低く,治療効果も優れている骨接合術が選択できる意義は大きい.当院ではこれらの状況に対応するために,数年前から骨接合術の施行例には,3年間,6か月ごとに整形外科とリハビリ科において,レントゲンチェックや運動機能チェックを継続的に実施しており,今回の再手術例も全例このチェックシステムを受けていた.再手術の可能性のある患者の早期発見や,運動機能維持による再手術後の歩行能力再獲得に対し,このシステムが効果的に機能したのではないかと考えている.今後も調査を継続し症例数を増やし,さらに検討していきたいと考えている.<BR>【理学療法学研究としての意義】筋力やバランス,歩行獲得率やクリニカルパスについてなど短期的な視点での報告のみではなく,治療の完結までに時間がかかる大腿骨頸部骨折に関しては,長期経過や合併症を含む長期管理など,総合的な見地に立った上での,今回のような地道で長期的な調査報告が必要と考える.
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2009 (0), C3O2157-C3O2157, 2010
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680549269248
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- NII Article ID
- 130004582305
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed