肩関節内旋運動におけるローテーターカフ評価法の検討

  • 来間 弘展
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 新田 收
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 俵 紀行
    国立スポーツ科学センター スポーツ医学研究部
  • 信太 奈美
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 神尾 博代
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 古川 順光
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 渡邉 修
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科
  • 柳澤 健
    首都大学東京 健康福祉学部 理学療法学科

Bibliographic Information

Other Title
  • ─MRI信号強度を用いて─

Description

【目的】 肩関節の理学療法においては、ローテータ-カフの活動を考慮することは重要である。しかし、ローテータ-カフは肩関節深部に存在するために、運動時の筋活動を評価することは困難である。そこで、我々は磁気共鳴イメージング(magnetic resonance imaging:以下MRI)を用い、運動における筋内の水分量変化をMRI信号強度変化として捉えて、ローテータ-カフの筋活動評価を行うことを試みてきた。第46回日本理学療法学会において、肩関節外旋運動で肩外旋筋群の活動を捉えることができると報告した。今回は肩内旋運動において、肩内旋筋の活動を捉えることができるかを調べ、本測定方法によりローテータ-カフの活動を正しく表すかを検討した。【方法】 対象は健常成人男性7名(平均年齢21.5歳(21~22歳)、平均身長(標準偏差):173.4(7.1)cm、平均体重(標準偏差):62.1(9.0)kg)とした。MRIベッド上背臥位にて、肩関節10°屈曲・40°内旋位、肘関節90°屈曲位にてバネによる抵抗をかける器具(Arm Twister:三力工業株式会社)を両手で交差して持ち、約6kgfの力で器具を引くことによる肩関節内旋運動を行った。内旋運動は50回を1セットとし、セット間を3分として計10セット行った。MRI撮像は運動開始前と運動直後に1.5TMRI(Magnetom Symphony:SEIMENS AG)にて行い、肩コイルを使用した。MRI撮像はEcho planner Imagingにて行い、右肩斜位矢状断の関節窩レベルを分析対象レベルとした。撮像条件はTR = 2000 ms、 TE = 50 ms、NEX = 1、 FA = 90°、FOV = 240 mmであった。撮像したデータをJPEG画像に変換し、ImageJ ver.1.43 (National Institutes of Health)を用い、測定筋の外周を囲み、各筋の信号強度をそれぞれ算出した。測定筋は、肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋・三角筋で、運動前後の信号強度を測定した。各筋群と運動前後の比較は、IBM SPSS Statistics ver.19を用い、対応のある因子と対応のない因子の二元配置分散分析を行った。有意水準は5%とした。【説明と同意】 すべての対象者に実験の目的・手順・予想される危険性について説明し、実験に協力することに対する了解を得た。なお、本研究は本学本キャンパス研究安全倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】 運動前の各筋における信号強度平均値(標準偏差)は、肩甲下筋94.29(10.89)・棘上筋149.71(13.76)・棘下筋179.53(18.75)・小円筋165.29(13.60)・三角筋219.02(12.46)であった。運動後の各筋における信号強度平均値(標準偏差)は、肩甲下筋107.02(12.09)・棘上筋149.77(11.81)・棘下筋180.39(14.58)・小円筋163.01(16.60)・三角筋219.02(9.97)であった。運動前後、筋間および交互作用すべてにおいて有意差を認めた。【考察】 肩関節内旋運動により、肩内旋筋である肩甲下筋のみ信号強度上昇を認め、他の筋群は信号強度上昇を認めなかった。これは肩関節内旋運動により肩甲下筋の筋内水分量が上昇し、この変化をMRI信号強度によりとらえることができたためである。肩関節外旋運動においては、棘下筋と小円筋のみ信号強度上昇を認め、今回の内旋運動では肩甲下筋のみの信号強度を認めたということは、MRI信号強度による肩関節ローテータ-カフ筋活動評価は、実際の筋活動を正確に反映していることを確かに示した。今後は本評価法を用いて、様々な運動効果検証に活用可能であることを示した。【理学療法学研究としての意義】 理学療法で種々提唱されているローテーターカフの運動において、実際の筋活動を直接測定する方法がなかった。しかし今回の方法を用いることにより、現在理学療法でおこなわれている様々な運動において、ローテータ-カフへの効果検証を直接的に行うことが可能となった。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680549344256
  • NII Article ID
    130004692498
  • DOI
    10.14900/cjpt.2011.0.ab1074.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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