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著明な疼痛性側彎を呈した若年性腰椎椎間板ヘルニア1症例の理学療法経過
Description
【目的】 辻らによる15歳以下50例に関する文献的検討の結果において、若年性椎間板ヘルニア(LDH)には、SLR testの強陽性、腰椎前彎の減少、側彎出現、腰背筋の緊張を伴った腰痛と下肢痛およびこれらに基づく歩行異常があると報告されている。今回我々は、腰痛とともに出現した若年性LDHによる著明な異常姿勢が改善する経過を経験した。理学療法における著明な疼痛性側彎の改善経過についての報告は少ないため、自験例を報告し実施した評価や理学療法を検討する。【方法】 当院電子カルテにて後方視的調査を行い、本症例の経過を報告する。現病歴。症例は10歳代男子。X年Y月、スポーツ活動中に腰痛発症。2ヶ月後、体育祭で腰痛増悪。他院で腰椎椎間板ヘルニア(L4/5、右傍正中)と診断。その後体表上からも確認できる側彎が出現。発症より6ヵ月後、当院ペインクリニック科に紹介受診し、その1ヵ月後に集中治療目的に22日間入院。既往歴なし。当院での治療:エコー下ファセットブロック、持続硬膜外ブロック、経皮的髄核摘出術(土方式、以下PD)。理学療法経過。姿勢改善目的に入院期間中17回、自宅退院後外来で12回(月2回)実施。画像所見:Cobb角:32°、腰椎前彎角:-30°。初期評価:痛み:右腰部・臀部から右下肢痛。安静時VAS44mm、動作時VAS65mm。アライメント:直立位困難。股関節、膝関節が屈曲した著しい円背姿勢で、右肩甲骨下制、左腸骨稜と左肋骨下部が接触するほどの側彎、腰椎前彎減少、骨盤後傾を呈する。ROM-T:SLR-T20°P/40°P、股関節屈曲100°/100°、伸展-40°P/-40°P、MMT:腹直筋5、腹斜筋3/3、脊柱起立筋評価困難、大殿筋3/1、中殿筋3/3、大腿四頭筋5/5、僧帽筋上部5/5、僧帽筋中部5/5、僧帽筋下部3/5。整形外科的テスト:FFD:評価困難、Tomas test+/+、Ober test+/+。ADL:車椅子レベル。プログラム:保持可能な姿勢での脊椎安定化エクササイズ、ストレッチング、動作指導、生活指導。経過:1週:痛み強く側臥位で実施。2週:持続硬膜外ブロック後、痛み軽減しファーラー位が可能。3週:PD後、軽度動作時痛のみに軽減。50m程度歩行可能。4週:院内独歩自立となりロフストランド杖歩行で自宅退院。外来理学療法では2ヵ月後独歩自立。4ヵ月後、部分的にスポーツ復帰。6ヵ月後までにはスポーツ活動に完全復帰した。【説明と同意】 症例に対して本発表の主旨と目的について説明し同意を得た。なお、本発表の中に個人情報を特定できる内容は含まれていない。【結果】 理学療法開始より6ヶ月後評価。痛みは安静時、体動時共にVAS 0mm。画像所見(当院初診より4ヶ月後):Cobb角:17°、腰椎前彎角:-10°。アライメント:直立位可能。わずかに体幹右傾斜、骨盤後傾位を呈する。ROM-T:SLR-T60°/70°、股関節屈曲120°/120°、伸展-10°/-10°、MMT:腹直筋5、腹斜筋5/5、脊柱起立筋3、大殿筋5/4、中殿筋4/4、大腿四頭筋5/5、僧帽筋上部5/5、僧帽筋中部5/5、僧帽筋下部4/5。整形外科的テスト:FFD:-3cm、Tomas test-/+、Ober test‐/‐。【考察】 初期評価より6ヶ月後で姿勢改善、身体機能改善が確認された。本症例は過去の報告とほぼ同様の特徴を呈していたが、腰仙部から腰椎が偏位したCobb角30°以上の側彎、腰椎前彎角減少を認める目視可能な異常姿勢が特徴的であった。疼痛性側彎は痛みが改善しても、筋力低下やアライメント異常が残存する傾向があり、Cobb角20°以上では改善に長期間を要すると言われる。痛みの改善後も股関節の可動域制限や胸腰椎、右肩甲骨周囲、左股関節など広範囲の体幹や四肢近位の筋力低下が残存し、筋力増強練習では改善が認められなかった。そこで脊椎安定性に関する機能低下が疼痛性側彎や筋力低下にも関与していると仮説を立て、脊椎安定化エクササイズを漸増的に追加したことが側彎や筋力低下の改善に効果的であったと推測する。また、異常姿勢に至った社会的因子の影響を認識させ、スポーツ動作やトレーニング方法や生活改善の指導も実施した.若年性LDHの姿勢改善に対するガイドラインはないが、生物心理社会モデルに沿った理学療法プログラムが有効であることが示唆される。【理学療法学研究としての意義】 姿勢改善に長期間を要するCobb角20°以上の若年性LDHの理学療法報告は、今後同様の症例に対する貴重な資料となり、1例の症例報告研究ではあるが本大会で発表する意義がある。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2011 (0), Cb0502-Cb0502, 2012
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680549848832
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- NII Article ID
- 130004693022
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed