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訪問リハビリテーション実施後のBarthel Indexと運動機能、歩行能力の変化に関する後方視的検討
Bibliographic Information
- Other Title
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- Barthel Indexに変化が起こらなかった症例に着目して
Description
【はじめに、目的】Barthel Index(BI)は、日常生活活動(ADL)能力の代表的な指標の1つであり、「自立」、「部分介助」、「全介助」の3段階の順序尺度で構成される。訪問リハビリテーション(訪問リハ)の臨床においてもBIは頻繁に用いられ、在宅要介護高齢者(高齢者)のADL能力を把握する上で有用な指標である。その一方で、慢性疾患を有し運動機能が低下した高齢者は、大きなADL能力の変化が認められにくいことがあり、BIが訪問リハの成果指標として介入効果を適切に反映しうるか疑問視する意見も聞かれる。本研究では、訪問リハを実施した高齢者のBIの変化を後方視的に調査した。その中で、訪問リハ実施後のBIに変化が起こらなかった症例に着目し、BI以外の運動機能と歩行能力の変化を調査した。その結果から、訪問リハの成果指標としてBIを用いる際の留意点について考察した。【方法】対象者は、当事業所から訪問リハを行った高齢者の中で、訪問リハを6カ月以上継続し、BIが改善または維持し、後述するデータに不備がない73名(男性35名、女性38名)とした。対象者の平均年齢±標準偏差は74.2±11.4歳、介護度は要支援が14名、要介護1-3が54名、要介護4,5が5名であった。主たる疾患の内訳は、脳血管疾患20名、骨関節疾患26名、内科疾患13名、神経筋疾患11名、その他3名であった。カルテ記録から、対象者の一般属性、ならびに、訪問リハ開始時(E1)と6カ月後(E2)のBIの合計点と運動機能、歩行能力を後方視的に調査した。運動機能は、等尺性膝伸展筋力体重比(膝筋力)とModified-Functional Reach Test(MFRT)の測定値を調査した。膝筋力は、E1の時点で低い値を示した方を障害側、高い方を健常側と定義し、障害側の膝筋力(障害膝筋力)と健常側の膝筋力(健常膝筋力)、障害側と健常側の膝筋力の平均値(平均膝筋力)を調査した。歩行能力は、5段階の順序尺度(1屋内歩行不可能,2屋内歩行要監視or介助,3屋内歩行自立,4屋外歩行要監視or介助,5屋外歩行自立)で定義した評価結果を調査した。統計解析は、対象者を2群〔E1に比べE2においてBIの合計点が上昇した者(改善群)、変わらなかった者(維持群)〕に分け、群毎にE1とE2における運動機能と歩行能力を比較した。次に、維持群の対象者の中で、訪問リハ開始維持のBIが100点満点の者(満点群)と100点未満の者(未満群)を2群に分け、群毎にE1とE2における運動機能と歩行能力を比較した。E1とE2の比較は、対応のあるt検定とWilcoxon符号付き順位検定を用いて行った。統計解析にはPASW Statistics 18 を用い、両側検定にて危険率5%未満を有意水準とした。【倫理的配慮、説明と同意】所属会社の倫理規定に従い、被験者に対して事前に本研究の目的や内容等を説明し同意を得た。【結果】改善群(38名)と維持群(35名)の両群において、E2における運動機能と歩行能力は、E1と比べて有意に高い値を示した。維持群の中の満点群(14名)において、障害膝筋力を除く運動機能と歩行能力は、E2がE1に比べて有意に高い値を示した。維持群の中の未満群(21名)において、健常膝筋力と平均膝筋力を除く運動機能と歩行能力は、E2がE1に比べて有意に高い値を示した。【考察】運動機能とADL能力の間には関連があることが先行研究で報告されている。しかしながら、本研究ではBI改善群のみならず維持群においても、訪問リハ実施後に運動機能と歩行能力が有意に改善していた。この傾向は、訪問リハ開始時のBIが100点未満であり天井効果の影響を受けない者においても、同様に認められた。維持群の運動機能や歩行能力が改善していたということは、維持群においてもADL能力に肯定的な変化(動作が楽に行えるようになった、など)が起こっていた可能性がある。しかしながら、これらの変化はBIが評価対象とするADLの「自立度」に変化を起こすほどのインパクトはなく、BIの合計点に反映されなかったと推測された。【理学療法学研究としての意義】訪問リハの介入効果を検証する成果指標としてBIを疑問視する意見が聞かれるが、本研究の結果は、その意見を支持するものであった。訪問リハが高齢者のADL能力に与える効果を検討する場合、BIはその効果を適切に反映しえない可能性があり、BI以外の指標の変化を考慮にいれて総合的に解釈する必要があると思われる。また、BIでは反映することができない小さなADL能力の変化をも鋭敏に反映しうる新たなADL能力の成果指標の開発が必要と考える。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012 (0), 48100064-48100064, 2013
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680549917824
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- NII Article ID
- 130004584659
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed