Functional Movement ScaleとFunctional Independence Measureの関連 FIM細項目自立におけるFMSのカットオフ値
Description
【はじめに、目的】今回の研究の目的はFunctional Independence Measure(以下FIMとする)で表した日常生活動作能力においてFunctional Movement Scale(以下FMSとする)で表した基本動作能力との関係を明らかにすることである。FMS の合計点に臨床的意味を持たせるべくFIMとの相関を求め、FIM細項目自立におけるFMSカットオフ値を算出した。さらに歩行補助具選択の為の基準を明らかにした。【方法】対象はH23.10 〜H24.10 の12 ヶ月間 に回復期リハビリテーション病院に入院した症例107 名である。入院時から退院時まで一週間ごとFIMとFMSを測定、全815 データよりFIM合計点・運動項目・細項目とFMS合計点との相関係数を算出。FIM自立(FIM1 〜5:介助(0)/6 〜7:自立(1))としてFMS合計点のカットオフ値を算出した。歩行補助具の選択基準の為、pick-up監視以上、pick-up自立以上、T字杖自立以上のFMSのカットオフ値を算出した。【統計学的分析】 Spearmanの順位相関係数(以下rsとする)を用い相関を調べた。rs=0.8 以上の項目を採択しROC曲線を描くことで、カットオフ値、感度、特異度、的中精度を算出した。統計ソフトはR2.8.1 を使用した。【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づいてプライバシーおよび個人情報の秘密に配慮してデータ処理をした。【結果】FMS合計点との相関係数は食事0.77/排尿0.77/排便0.79/理解0.58/表出0.64/記憶0.63/社会的交流0.66/問題解決0.64 であった。他の項目は0.80 〜0.95 と強い相関を示した。FIM細項目自立におけるFMSのカットオフ値は整容28 点/清拭42 点/更衣(上半身)32 点/更衣(下半身)37 点/トイレ動作31 点/ベッド車椅子移乗28 点/トイレ移乗30 点/浴槽移乗36 点/歩行車椅子36 点/階段40 点であった。さらにpick-up監視以上のFMSカットオフ値27 点/pick-up自立以上33 点/T字杖自立以上37 点であった。【考察】FIM細項目自立におけるFMSのカットオフ値を得点の低い順に並べると、整容・ベッド車椅子移乗・トイレ移乗・トイレ動作・更衣(上半身)・更衣(下半身)・歩行車椅子・浴槽移乗・階段・清拭となり、ADLの難易度順と考えることができる。自宅退院の要因とされることが多いトイレ関連動作の自立はFMS30 点(トイレ移乗30 点・トイレ動作31 点)である。歩行補助具の選択基準が明らかとなったことでFMS合計点を1 つの目安とすることができる。【理学療法学研究としての意義】今回の研究は基本動作能力を客観的に表すFMS合計点に臨床的意味が付加された。また、ADL自立における臨床判断や歩行補助具選択にFMS合計点を利用することができる。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012 (0), 48100158-48100158, 2013
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680550026368
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- NII Article ID
- 130004584731
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed