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大腿四頭筋の筋力増強法に適したClosed Kinetic Chain種目
Description
【目的】近年,Opened Kinetic Chain(以下,OKC)に加え,Closed Kinetic Chain(以下,CKC)における筋力増強法が重要視されてきた.日常動作の殆どが荷重下で行われ,CKCでは下肢全体としての協調性もトレーニング可能である.大腿四頭筋は抗重力筋として重要な役割を担っており,一般に臨床ではスクワット等が多く行われている.大腿四頭筋トレーニングは傷害の違いにより目的・方法が異なるが,臨床では筋力増強法として行われている場合が多い.<BR> 筋力増強運動では過負荷の原則から,最大随意収縮(以下,MVC)の65%以上の筋活動量(以下,%MVC)が必要であるとされている(McDonagh,1984).スクワットにおける筋活動量の比較を異なるフォームや負荷を加えて行っているものはみられるが(市橋,1997),CKCでの大腿四頭筋トレーニングの種目の違いにおける%MVCを比較している研究はない.臨床で行われているCKCでの様々な大腿四頭筋トレーニングが,筋力増強法として有効であるのかは疑問である.そこで本研究は,大腿四頭筋の筋力増強法として臨床での利用頻度の高い,立ち上がり・ハーフスクワット・踏み台昇降(小山,2009)時の大腿四頭筋の%MVCを求め,筋力増強法に適したCKC種目を明確にし,ホームエクササイズ等を処方する際に有益な基礎資料とすることを目的とする.<BR>【方法】対象者は整形学的疾患を有さない健常女性25名(平均年齢20.9±1.5歳,平均身長158.1±6.2cm,平均体重51.3±5.5kg)とし,測定脚は右脚とした.<BR> 測定:筋力測定器(Myoret RZ-450,川崎重工社製)にて最大等尺性膝伸展筋力(膝関節屈曲90度)を測定し,このときの筋活動量の最大値を100%MVCとし,各種目における筋放電を最大等尺性収縮時の筋放電で除し,100をかけた%MVCで表した.<BR> データ解析:内側広筋の筋活動量を表面筋電図を用いて導出し%MVCを求め,その値を比較した.表面筋電図の測定には誘発筋電位検査装置(Neuropack 8,日本光電社製)を使用した.運動は等運動性とし,求心性・遠心性収縮動作に区別し測定した. 種目間の比較を検討するため各種目実施時の膝関節角速度はすべて18degree/secとした.得られた筋電信号は最大等尺性収縮時・各種目時ともに全波整流後100ミリ秒で移動平均を取り,5秒内の最大値を代表値とした.<BR> 統計処理:1元配置の分散分析と,Dunnett法による多重比較を用いて種目間での%MVCについて検討し,有意水準は5%未満とした.<BR>【説明と同意】対象者には,本研究の趣旨を十分説明し,書面による自署を得た上で測定を行った.<BR>【結果】立ち上がり:求心性36.0±17.2%,遠心性33.5±18.0%.ハーフスクワット:求心性33.5±16.7%,遠心性35.2±17.3%.踏み台昇降:求心性71.9±23.0,遠心性66.8±19.7.分散分析において3種目間に有意差を認めた(P<0.01).多重比較においては,立ち上がり-踏み台昇降,ハーフスクワット-踏み台昇降間に有意差を認めた(P<0.01).また,対象者25名のうち%MVCが65%を超えた人数は,立ち上がり・ハーフスクワットは求心性・遠心性収縮ともに2名,踏み台昇降は,求心性収縮14名・遠心性収縮11名であった.すべての対象者において,踏み台昇降が最高値を示した.<BR>【考察】%MVCが65%に達した種目は求心性・遠心性収縮ともに踏み台昇降のみであった.これは,筋力増強の面では,立ち上がり・ハーフスクワットは十分でないといえる.踏み台昇降の%MVCが他の2種目に比べ高値を示した理由として,片脚で荷重すると下肢への負荷量が大きくなるため大腿・下腿の回旋が生じ易くなり,内転筋の筋活動量が高まる.それによって内側広筋の筋活動量も増すことが考えられる.これは,内側広筋の斜頭部が大内転筋腱膜に起始することで説明できる(隈元,2004).<BR> 立ち上がり・ハーフスクワットは臨床での利用頻度が高いが,実際の%MVCは低値を示した.これは筋力増強以外にも重点をおいていることが考えられる.CKC種目は単に筋力増強に対して行われるのではなく,神経筋協調機能や日常動作獲得のために行われる場合が多いと考えられる.立ち上がりやハーフスクワットのようなCKC種目は一般的に,OKC種目と共に行うか,OKC種目に順じて行われる場合が多い.このことから,筋力増強に必要な筋活動量を得るためには,OKC種目も行う必要があると考えられる. <BR>【理学療法学研究としての意義】CKCにおける大腿四頭筋トレーニングの中でも,立ち上がりやハーフスクワットは簡便で,踏み台昇降に比べ転倒のリスクも低く,比較的処方し易い運動であると考えられるが,大腿四頭筋,特に内側広筋の筋力増強法としては見直される必要があると考えられる.また,本研究は健常若年者を対象としたため,一方で高齢者への処方を考慮した検討が必要であると考えられる.
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2009 (0), A4P3066-A4P3066, 2010
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680550209024
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- NII Article ID
- 130004581963
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed