- 【Updated on May 12, 2025】 Integration of CiNii Dissertations and CiNii Books into CiNii Research
- Trial version of CiNii Research Knowledge Graph Search feature is available on CiNii Labs
- 【Updated on June 30, 2025】Suspension and deletion of data provided by Nikkei BP
- Regarding the recording of “Research Data” and “Evidence Data”
DPC病院における誤嚥性肺炎患者へのリハビリテーションの現状とADL(日常生活活動)の改善についての検討
Description
【はじめに、目的】 厚生労働省の2011年人口動態統計によると、日本人の死因順位で肺炎は脳血管疾患を抜き第3位となった。高齢の誤嚥性肺炎患者の入院が多く、廃用症候群の予防・改善のため急性期からのリハビリテーション(以下、リハ)の重要性がこれまで以上に増すものと考えられる。当院では2007年より「誤嚥性肺炎クリニカルパス」を導入し、早期からの積極的なリハ実施の成果を報告してきた(2009呼吸ケア・リハ学会など)。本邦においても肺炎患者に対する急性期のリハ実施について言及した報告が散見されるが、個別施設の取り組みを示したものが多く、多施設でのリハ実施状況の報告は皆無である。本研究の目的は、全国のDPC病院における誤嚥性肺炎患者へのリハ実施状況を明らかにし、当院と他のDPC病院を比較することで、ADLの改善に影響を与える要因を検討することである。【方法】 対象は、株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(以下、GHC)にデータを提供している全国のDPC病院において、2011年4月~2012年3月に退院した、65歳以上の誤嚥性肺炎(DPCコード:040080、最も医療資源を投入した傷病名:J69$誤嚥性肺炎)の患者とした。除外基準は死亡症例、入退院時のADLスコアが未記入等の症例、DPC対象外病棟への転棟症例、データ数が少ない病院等とした。調査項目は、リハ実施率およびリハ実施症例数、年齢、性別、入院からリハ開始までの日数、在院日数、リハ実施1日あたりの単位数、リハ実施密度(リハ実施日数/在院日数)、およびDPCデータから抽出したADLスコアについて、当院と他病院を比較した。ADLスコアは、入院時ADLスコア、退院時ADLスコア、1日あたりのADL改善率(ADLスコアの改善スコア/在院日数)を比較した。なお、本研究では「平成23年度DPC導入の影響評価にかかる調査」中の入退院時ADLスコア(全20ポイント)をBarthel Indexへ変換した数値を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究では、GHCが管理するDPCデータから抽出したものを使用しており、匿名性が確保されている。【結果】 除外基準にあてはまらない65歳以上の誤嚥性肺炎患者225病院18,962例のうち、リハが実施された症例は224病院9,310例であり、リハ実施率はDPC病院全体で49.1%であった。リハ実施率は当院91.5%/他病院47.4%(以下、当院/他病院の順で数値を表記)であり、リハ実施症例数は671例/8639例であった。年齢は86.2±7.3歳/84.4±7.6歳、性別は男性326例(女性345例) /男性4903例(女性3736例)であった。入院からリハ開始までの日数は2.7±2.3日/7.3±8.3日、在院日数は27.2±16.3日/33.8±30.8日、リハ実施1日あたりの単位数は1.8±0.9単位/1.9±0.9単位、リハ実施密度は55.7±25.0%/48.2±19.2%であった。入院時のADLスコアは12.21ポイント/14.37ポイント、退院時ADLスコアは21.09ポイント/20.87ポイント、1日あたりのADL改善率は0.54±1.51ポイント/0.40±1.55ポイントであった。【考察】 DCP病院全体では、リハ実施率は50%以下、リハ実施1日あたりの実施単位数は2単位程度、リハ実施密度は入院期間の半分程度と、急性期における誤嚥性肺炎のリハは十分な量が実施されていないことが示された。当院は他病院と比較し、より多くの誤嚥性肺炎患者に入院早期からリハを実施しており、リハ実施単位数およびリハ実施密度はほぼ同等であったが、1日あたりのADL改善率は高かった。このことより、誤嚥性肺炎の入院早期からのリハ実施は効率的なADLの改善を導き、結果として在院期間の短縮に影響を与える可能性が示唆された。今後の当院における誤嚥性肺炎の治療戦略は、リハ実施単位数と実施密度を高め、入院早期におけるリハ実施量を増加させることで、より効率的なADLの改善を目指すことである。本研究の限界として、入院期間中のADLスコアの変化が不明であるため廃用症候群によるADLスコアへの影響が述べられないこと、嚥下リハの有無などリハ実施内容が不明であることなどが考えられ、今後の検討課題として残された。【理学療法学研究としての意義】 高齢化の進展により、急性期病院における肺炎患者へのリハの必要性は今後ますます高まるものと考えられ、本研究は肺炎患者への急性期病院におけるリハシステムの構築に寄与するものと考えられる。
Journal
-
- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
-
Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012 (0), 48101428-48101428, 2013
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
- Tweet
Details 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680551418496
-
- NII Article ID
- 130004585670
-
- Text Lang
- ja
-
- Data Source
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- Abstract License Flag
- Disallowed