自己免疫疾患に対する精査加療中に大腿骨転子部骨折を呈した症例
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【目的】シェーグレン症候群は主に涙腺と唾液腺の乾燥病変として知られているが,その約半数は何らかの全身性の臓器病変を呈する自己免疫疾患である。今回,シェーグレン症候群の合併症のひとつである血小板減少症の精査加療中に転倒し大腿骨転子部骨折を呈した症例の理学療法を経験した。各々の合併症を考慮した理学療法により短期での自宅退院に至った症例であり,若干の考察を加え報告する。【症例提示】70歳代女性。シェーグレン症候群,間質性肺炎,Jaccoud関節症,骨粗鬆症等の複数の合併症を有し,経過とともに歩行時のふらつき出現。平成X年Y月,血小板減少症の精査加療のため当院入院。血小板(以下,PLT)1.9万,機能的自立度評価表(以下,FIM)123点。精査中,院内トイレで転倒し大腿骨転子部骨折受傷。5病日,観血的固定整復術施行。【経過と考察】術後翌日理学療法開始。車椅子座位開始,起立性低血圧を認めた。術後3日目PLT1.9万,Hb7.1。低負荷での動作練習中心に実施。術後5日目PLT5.1万,Hb8.6,平行棒内歩行開始。運動誘発性低酸素血症を認め,自覚症状およびHRを指標として筋力練習,荷重練習実施。上肢変形に対し関節保護を考慮。術後9日目PSL1mg/kg/day開始し,内科的治療を再開。以後,多汗などの副作用出現。術後13日目病棟歩行練習開始。術後15日目,歩行器歩行連続280m。杖歩行,転倒予防練習実施。術後23日目病棟トイレ歩行自立。術後26日目杖歩行修正自立にて自宅退院,血小板7.1万,FIM119点。術後早期には身体状況(血液データ)等が不安定な症例は少なくなく,合併症に配慮した個別的な介入が求められる。本症例は複数の既往歴により歩行獲得の遅延が予測されたが,患者本人の自覚症状や身体状況の変化に応じた介入内容により早期に歩行練習が可能となり,短期での自宅退院に至ったと考えられる。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2014 (0), 0353-, 2015
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680551621888
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- NII Article ID
- 130005248069
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
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