うつ病による入院中に運動療法を継続し運動機能とうつ症状に変化を認めた一症例

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  • 自由10m歩行テストと自己評価尺度Zung Self-rating Depression Scale(SDS)の経時的変化

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【目的】運動によりうつ症状は軽減し予防できるという報告が散見される。うつ病は患者数が100万人を超え自殺の重要な要因であり,運動療法の効果は検討される余地がある。入院中は向精神薬が変更されず,定期的に運動機能とうつ症状の変化を評価することができたうつ病の患者を担当した。そこで運動療法に伴うそれらの変化をまとめ効果を確認することとした。【症例提示】70代。女性。診断名:うつ病。焦燥感と意欲低下あり医療保護入院。入院後5日(以下Y+〇日)PT開始。開始時評価:歩行;free hand裸足にて軽介助。入院後,転倒あり。服薬:ミルタザピン15mg,アリピプラゾール3mg(退院まで同量)。歩行能力(歩行速度・歩幅・歩行率)・うつ症状(自己評価尺度Zung Self-rating Depression Scale(SDS))を随時測定。【経過と考察】経過:病室にて3日/週の運動療法を実施し歩行の安定性は向上したが,自室を出ることは拒否していた。Y+85日頃より運動量の増加に伴ううつ症状の改善を目標に,実施場所をGymへ,プログラムをエルゴメーターに変更した。SDSは52点であった。エルゴメーター20W×5分から開始し,1週ごとに1分増加した。約2ヵ月後,歩行速度40.2m/分・歩幅0.36m・歩行率112.6歩/分。SDSが50点となり,Y+162日で自宅退院。退院時評価:歩行;自立。歩行速度49.8m/分・歩幅0.40m・歩行率126.1歩/分。考察:開始時に動作能力の低下を認めたが,運動療法により歩行能力が改善した。動作能力を維持・向上させるためにうつ病の患者に対して理学療法は有用であり,自宅退院につながる要因のひとつになると考えられた。エルゴメーター開始後に,SDSが2点減少し理学療法実施中の発話の増加を認めた。うつ症状がわずかに変化した可能性が示された。今後は症例を増やし,プログラムの量と質,理学療法の適応と効果に関する検討が必要と考えられた。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680551690624
  • NII Article ID
    130005248587
  • DOI
    10.14900/cjpt.2014.0887
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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