(公社)神奈川県理学療法士会における自宅会員および休会会員に対する就業に関するアンケート調査(第2報)

DOI
  • 清川 恵子
    公益社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 西山 昌秀
    公益社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 寺尾 詩子
    公益社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 大槻 かおる
    公益社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 萩原 文子
    公益社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 大島 奈緒美
    公益社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 杉山 さおり
    公益社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部
  • 久保木 あずみ
    公益社団法人 神奈川県理学療法士会 会員ライフサポート部

書誌事項

タイトル別名
  • ~自由記載から考える問題点~

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抄録

【はじめに,目的】神奈川県理学療法士会の会員ライフサポート部では,昨年,休会会員に対し就業継続における問題点を把握するための実態調査を行い,休会会員の就業継続や会員復帰の問題点を明らかにした。しかし,調査結果を分析していく中で,就業継続に関連が深いと考えられる自宅会員が含まれていなかったため,昨年の報告では十分な問題提起とはなっていないことが考えられた。そのため今回は,休会会員だけでなく自宅会員を加えての実態調査を行った。そのアンケートの中で自由記載欄への書き込みに重要な意見や情報が寄せられており,それらをまとめることは今後の課題を考えるために必要であると感じた。そこで,就業継続や会員復帰の問題点の把握と今後の支援活動へ繋げるためにアンケート自由記載欄の意見をまとめたので報告する。【方法】調査対象は,本会会員3726名中,自宅会員と休会会員の1080名で,調査期間は平成25年6月の2週間とした。方法は往復はがきによる郵送調査を採用し,質問紙の内容は基本属性,現在PTとして働いているかの有無,復職予定の有無,復職希望の有無,復職できない理由,復職に必要な条件を調査した。分析は質問紙の自由記載部分から問題点・その背景・解決手段として挙げられている箇所を抜き出し分類して行った。【倫理的配慮,説明と同意】調査実施時は調査依頼文にて目的や学会などでの公表を明記し,回答を得た時点で同意を得たものと判断した。【結果】有効回答者数は298名で,回収率は27.6%であった。そのうち自由記載があったのは76名であり,その内訳は,自宅会員が42名,休会会員が32名,未回答が2名であった。問題点として主に,PTとして働いていない会員の問題と働いている会員の問題とに大別され,さらに両者に共通した問題が挙がっていた。働いていない会員では復職したいが難しいという記述が多く,その理由に,子どもが小さいため病気などによる突発的な休みの取得で職場に迷惑をかけてしまうこと,保育施設に空きがないこと,子どもの成長に合わせて短時間で働ける求人情報が入手できていないこと,夫や家族の協力が得られる環境にないこと,離職期間が長期のため知識や技術に自信がないことが挙がっていた。解決のための要望として,育児に理解のある職場の求人情報の提供と復職のための講習会の開催が挙げられていた。一方,働いている会員では非常勤で働いているという記述が多く,常勤の希望はあっても難しいと考える理由に,育児のために残業などの時間的な融通が難しいこと,スキルアップの時間がとれないことが挙げられていた。解決のための要望として,育児中でも常勤で働ける職場の増加,保育施設の整備,家族や職場の協力,復職前後の教育支援が挙げられていた。また,注目すべき意見として職場の理解が得られずに妊娠中の体調不良で休暇を取得中に解雇された,職場の理解が得られていても育児と仕事の両立の負担が強すぎるために,離職を考えているという意見も見受けられた。さらに,共通の意見として会費が高く経済的に休会・退会を考えているという記述も少なからず挙がっていた。【考察】今回の調査より,休会会員だけでなく自宅会員の中にも就業継続に関する問題を抱えた会員がいることが明らかとなった。昨年に報告したアンケート調査と同様に育児に伴う問題についての意見が多く,育児中の会員への継続的なサポートが必要と思われた。さらに,当部への要望としては復職前後の研修会の実施という意見も多く,知識や技術が得られることで復職や就業継続への自信につながることを期待している。また,勤務体制を含めて出産・育児に理解のある職場の情報が入手しづらい状況であることが復職を困難にする要因の一つであると考えられた。研修会の開催や情報提供は,これまでも主要な活動内容となっているにもかかわらず,必要と感じている会員には伝わっていない状況が再認識出来た。一方,非常勤であることや働いていないための経済的理由から休会・退会の考えに至ると思われた。これらのことをふまえ,当部では復職前後の教育,勤務体制が上手く工夫されている施設の紹介や情報提供などの支援活動の継続に加え,情報提供の方法について再検討していく必要があると考えている。【理学療法学研究としての意義】自宅会員や休会会員の就労に関する問題を把握することは,必要な情報発信や支援活動につながり,有能な人材の確保になると考えられる。

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