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姿勢の違いが胸部と腹部の肺気量分画に与える影響
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- 高山 雄介
- 兵庫医科大学ささやま医療センターリハビリテーション室
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- 野添 匡史
- 兵庫医科大学ささやま医療センターリハビリテーション室
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- 松下 和弘
- 兵庫医科大学ささやま医療センターリハビリテーション室
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- 間瀬 教史
- 甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科
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- 高嶋 幸恵
- 甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科
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- 和田 智弘
- 兵庫医科大学ささやま医療センターリハビリテーション室
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- 真渕 敏
- 兵庫医科大学リハビリテーション医学教室
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- 島田 憲二
- 兵庫医科大学地域総合医療学
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- 山本 憲康
- 兵庫医科大学地域総合医療学
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- 福田 能啓
- 兵庫医科大学機能再生医療学
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- 道免 和久
- 兵庫医科大学リハビリテーション医学教室
Bibliographic Information
- Other Title
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- 特に側臥位の特徴について
Description
【はじめに、目的】肺気量分画測定により呼吸予備能を評価することは,呼吸器疾患患者の病態把握のために重要である。肺気量分画は肺,胸郭と呼吸筋の力学的均衡により規定され,年齢や体格,姿勢の影響を受けることが報告されている。呼吸運動は胸部,腹部からなる胸壁(chest wall)の複合的な運動であるが,それぞれの部位の呼吸予備能が姿勢の違いでどのような影響を受けるかについての報告は少なく,特に側臥位についての報告は我々の知る限りほとんどない。3次元動作解析装置を用いたchest wall体積測定法は,chest wallを分画した局所毎の換気量測定が可能で,様々な姿勢の測定に用いられている。今回我々は,背臥位,側臥位,座位におけるchest wall運動を3次元動作解析装置で測定し,姿勢の違いが胸部と腹部の肺気量分画にどのように影響を与えるかについて,特に側臥位に着目して検討した。【方法】対象は健常男性10名(26.3±2.9歳)。測定肢位は背臥位,左側臥位(側臥位),端座位(座位)とした。反射マーカーは各肢位で体表面にそれぞれ66個,81個,86個貼り付け, 3次元動作解析装置(Motion Analysis社製Mac3Dsystem,カメラ8台)を用いて反射マーカーの座標変化を測定した。測定は各肢位で安静呼吸2分間,肺活量の測定を3回行わせ,測定順序はランダムとした。得られた反射マーカーの座標変化から野添ら(2010)の方法に準じて経時的なchest wallおよび,それを分画した肋骨で囲まれた部位(胸部),腹部の体積変化を算出した。Chest wall,胸部,腹部の肺気量分画は肺活量が最大値を示した施行と,安静呼吸中の5呼吸の平均値を用いて算出し,さらに肺活量については胸部と腹部の比率(胸部/腹部:胸腹部比)についても算出した。統計学的検定はSPSS12.0 for windowsを用い,chest wall,胸部,腹部各部位における肺気量分画の各指標(肺活量,予備吸気量,一回換気量,予備呼気量,胸腹部比)についてANOVAを行い,3姿勢を比較した。有意差が認められた場合はBonferoni法を用いて多重比較を行った。有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者全員に本研究の方法,目的を説明し,書面による同意を得た。また本研究は兵庫医科大学倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】Chest wallについて,肺活量(背臥位4.56±0.64L,側臥位4.36±0.53L,座位4.68±0.64L,),一回換気量(背臥位0.59±0.05L,側臥位0.58±0.07L,座位0.61±0.09L)は各姿勢間で有意差は見られなかった。予備吸気量は側臥位,座位に比べ背臥位で有意に高値を示した(背臥位2.72±0.52L,側臥位2.10±0.45L,座位2.23±0.41L,p<0.01)。予備呼気量は側臥位,座位に比べ,背臥位で有意に低値を示した(背臥位1.25±0.35L,側臥位1.67±0.35L,座位1.80±0.36L,p<0.01)。胸部について,肺活量は背臥位,座位に比べ側臥位で有意に低値を示した(背臥位3.15±0.48L,側臥位2.77±0.42L,座位3.21±0.57L,p<0.01)。予備吸気量は背臥位,座位に比べ側臥位で有意に低値を示した(背臥位1.93±0.38L,側臥位1.44±0.42L,座位1.90±0.40L,p<0.01)。予備呼気量は各姿勢間で有意差は見られなかった(背臥位0.98±0.32L,側臥位1.11±0.30L,座位0.98±0.31L)。腹部について,肺活量は各姿勢間に有意差は見られなかった(背臥位1.40±0.30L,側臥位1.59±0.37L,座位1.47±0.39L)。予備吸気量は他の2姿勢に比べ座位で有意に低値を示した(背臥位0.79±0.24L,側臥位0.66±0.25L,座位0.37±0.22L,p<0.01)。予備呼気量は座位が最も高く,背臥位は最も低値を示した(背臥位0.28±0.11L,側臥位0.56±0.21L,座位0.82±0.27L,p<0.001)。また,肺活量における胸腹部比は,背臥位,座位に比べ側臥位で有意に低値を示した(背臥位2.29±0.59,側臥位1.81±0.46,座位2.32±0.57,p<0.01)【考察】今回の結果の中で呼気予備量が座位に比べ背臥位で低く,その原因が腹部の予備呼気量の減少によることは,Agostoni(1986)らの報告と一致し,主に背臥位における腹圧増加によるもので,側臥位はその2肢位の中間に位置すると考えられた。また,側臥位は胸部の予備吸気量が他の2肢位に比べ低く,肺活量に対する胸腹部比も低いという特徴があった。吸気に伴う腹圧の上昇は腹部を拡張するだけでなく,下部肋骨を拡張する作用を持つ。座位では姿勢保持に伴う腹筋群の収縮が腹圧上昇を助け,背臥位では重力による腹圧上昇が下部肋骨の拡張作用を補助する。しかし側臥位では腹圧の重力勾配により下側の腹圧が高くなるが,その部位の肋骨は床面に圧迫されていることなどが影響して拡張作用を補助できず,胸部の予備吸気量の減少や肺活量に対する胸腹部比の低下が生じたと考えられた。【理学療法学研究としての意義】姿勢の違いによる局所毎の呼吸予備能を知ることは呼吸理学療法を行う上で有用である。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2012 (0), 48102146-48102146, 2013
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680553058048
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- NII Article ID
- 130004586190
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed