トレッドミル及び自転車エルゴメータ運動における呼吸循環応答と呼吸補助筋の筋活動の比較

DOI
  • 寺尾 友佑
    杏林大学保健学部理学療法学科運動障害系理学療法学研究室
  • 榎本 雪絵
    杏林大学保健学部理学療法学科
  • 神野 徹
    杏林大学保健学部理学療法学科運動障害系理学療法学研究室
  • 安部 皇子
    杏林大学保健学部理学療法学科運動障害系理学療法学研究室
  • 坂井 綾音
    杏林大学保健学部理学療法学科運動障害系理学療法学研究室

抄録

【はじめに,目的】全身持久力のトレーニング方法にはトレッドミル運動と自転車エルゴメータ運動(以下エルゴメータ運動)がある。両負荷方法において同一酸素摂取量や,最大酸素摂取量での運動負荷時における呼吸循環応答を比較検討した研究は多いが,有酸素運動時における研究は少ない。本研究は,両負荷方法における40%VO2maxの運動時における心肺機能と呼吸補助筋活動量について,比較検討することを目的とした。【方法】対象者は年齢20~21歳の健常男子学生20名。呼気ガス分析装置を用いて運動負荷試験を実施し,各運動負荷量を設定した。安静臥位後に両負荷方法で40%VO2maxの運動を各々20分間実施した。両負荷方法2条件の実施順は無作為に行い,実施間隔は48時間以上設けた。測定項目は,呼吸数(RR)と心拍数(HR),分時換気量(VE),全身及び下肢の自覚的運動強度(RPE),胸鎖乳突筋および腹直筋の筋活動量とした。RRとHR,VE,RPEの測定値は,運動開始から1・2分時,10・11・12分時,18・19・20分時の平均値をそれぞれ初期時,中間時,最終時として,安静時からの各変化率とした。各筋の筋活動量の測定値は,筋電図を用いて運動開始時,運動開始より10分経過時,運動開始より18分経過時から各10秒間の筋活動量の積分値をそれぞれ初期時,中間時,最終時として,安静時からの各変化率とした。【結果】HRとVE,呼吸筋活動量は,両負荷方法にて運動時間が長くなるほど高値を示した。HR,VE,呼吸補助筋活動量の安静時からの変化率は,初期時,中間時,最終時ともに,エルゴメータ運動と比較してトレッドミル運動で有意に高値を示した。RRと全身および下肢のRPEは,両負荷方法にて運動時間が長くなるほど高値を示した。RRと全身および下肢のRPEの安静時からの変化率は,初期時,中間時,最終時ともに,エルゴメータ運動とトレッドミル運動で有意な差を認めなかった(Wilcoxon順位和検定,p<.05)。【結論】エルゴメータ運動と比較しトレッドミル運動でHR・VE変化率が有意に増加した要因として,下肢を主としたエルゴメータ運動と比較し,トレッドミル運動は動員される筋も多くなる全身運動であること(運動様式の違い)が考えられた。本研究の40%VO2maxの強度では,全身の筋に酸素供給を行う循環応答の結果としてHRの増加が生じ,全身運動であるトレッドミル運動でHR変化率が有意に増加したと考えられた。また,トレッドミル運動では末梢組織での炭酸ガス産生量増加に伴い,VE変化率も有意に増加したと考えられた。エルゴメータ運動と比較しトレッドミル運動で胸鎖乳突筋・腹直筋活動量変化率が共に有意に増加した要因は,トレッドミル運動の運動特性とVE変化率が有意に高いことが考えられた。トレッドミル運動はエルゴメータの運動と比較して,姿勢保持に対しても筋活動を必要とすると考えられるが,トレッドミル運動でVEの変化率が有意に高いということは,呼吸・循環応答に対しても呼吸補助筋が使用されていたと考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680554208256
  • NII論文ID
    130005417727
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.0796
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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