反重力トレッドミル使用による呼吸器疾患患者の歩行時の脈拍数上昇,呼吸困難感,下肢疲労度の抑制効果について

DOI
  • 篠原 竜也
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 宮原 小百合
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 木本 龍
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 河野 めぐみ
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 常住 美佐子
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 輪座 聡
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 柴田 大輔
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 遠藤 弘毅
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 鈴木 洋平
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 大隅 雄一郎
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 斉藤 光平
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 坂下 達郎
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション部
  • 村上 峰子
    帝京大学ちば総合医療センター リハビリテーション科

抄録

【はじめに,目的】入院中の呼吸器疾患患者は運動耐容能が低下しており,通常歩行の運動強度であっても脈拍数上昇,経皮的酸素飽和度(以下SpO2)低下,呼吸困難感の増強により通常の歩行練習が困難なことを経験する。体重免荷トレッドミル歩行(以下BWST歩行)の先行研究では,健常人を対象に荷重率の減少による酸素摂取量の減少が報告されており,BWST歩行は通常歩行よりも低強度な歩行練習を行える可能性があると考えた。本研究の目的はBWST歩行で荷重率を減少させることで運動耐容能が低下した呼吸器疾患患者の歩行時の脈拍数上昇,SpO2低下,呼吸困難感を抑制することができるかを明らかにすることである。【方法】対象者は入院中の呼吸器疾患患者8名(平均値は年齢64.6±10.9歳,BMI22.4±7.0,男性4名,女性4名,COPD6名,間質性肺炎2名,酸素投与量0~4L)とした。反重力トレッドミルAlter G(Alter G社製M320)を使用し,荷重率は100%,60%の2条件とし歩行速度は患者ごとに設定(1.3~2.6km/h)し2条件は同じ速度とした。トレッドミル上での安静後,2条件で各2分間歩行課題を行い,間に十分な休憩時間を設けた。2条件の実施順序はランダムとした。パルスオキシメーター,修正ボルグスケールを使用し2条件の歩行前後の脈拍数,SpO2,呼吸困難感,下肢疲労度を測定した。統計処理はEZRversion1.30を使用し各測定値の特性に応じてそれぞれ対応のあるt検定,Wilcoxon符号付順位和検定を用いて行い,統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】荷重率100%,60%において歩行後の脈拍数は118.3±22.2,105.3±20.5回/分であり60%において有意に低かった。(p<0.01)SpO2は93.0±4.4,94.1±2.2%であり有意差を認めなかった。呼吸困難感は3.6±2.3,1.1±1.0,下肢疲労度は3.1±2.2,1.4±1.3であり,ともに60%で有意に低値を示した(ともにp<0.05)。【結論】心拍数は健常人を対象とした先行研究では荷重率の減少によって有意差はないと報告されているが,運動耐容能が低下した患者を対象とした本研究では有意に低下する結果となった。運動耐容能が低下している患者であっても,BWST歩行によって運動強度を低強度とすることで早期から歩行練習を行うことができると考えられる。また呼吸困難感,下肢疲労度においても荷重率の減少により有意な低下を認めたことから呼吸困難感が強い症例や筋力低下を認める症例に対しても有益な可能性が示唆された。今後はBWST歩行の治療効果を検討することが課題である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680554276480
  • NII論文ID
    130005417757
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.0753
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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