当院リハスタッフが難渋したシーティング事例の特徴と解決策

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抄録

【はじめに,目的】当院では患者様の車椅子が適合しなくなり,リハスタッフが難渋した場合の支援の場としてシーティング相談を実施し,シーティング係(シーティング・コンサルタントを含む)の下で解決策を探っている。本研究は,シーティング相談を実施した事例のうち,多数を占める解決策を抽出し,身体や車椅子の特徴を示すことで,今後のシーティングの一助とするために実施した。【方法】対象は2012年10月~2015年3月でシーティング相談を実施した20件中,データの欠損がなく,目標達成ができた15件とした。方法は,相談記録用紙を基に,相談したリハスタッフに以下の内容を後方視的に聴取した{使用車椅子の種類,車椅子の不適合条件,座位姿勢の体幹の特徴,股・膝・足関節に相対角度90度を境に屈曲域もしくは伸展域に制限はあるか,座位姿勢の身体的原因,座位能力分類(JSSC版),解決策}。統計は各解決策と車椅子及び身体の特徴(以下,特徴)をクロス集計し,解決策上位4位と半数以上を占める特徴を抽出した。【結果】①「ラテラルサポートの使用」が7件であった。特徴は,普通型車椅子7件,座幅が広い5件,ラテラルサポートがない7件,体幹の左右への傾き7件,脊柱側弯4件,座位能力分類II4件であった。②「座面の左右に高低差をつけた」が6件であった。特徴は,普通型車椅子5件,体幹の左右への傾き5件であった。③「股関節の伸展が可能なクッションの使用」が6件であった。特徴は,使用車椅子に適合したクッションがない4件,体幹の左右への傾き4件,体幹の後傾位5件,股・膝・足関節の屈曲制限(6件・4件・4件),座位能力分類III5件であった。④「リクライニング機構付きの車椅子の変更」が6件であった。特徴は,普通型車椅子の使用4件,体幹の左右への傾き5件,体幹の後傾位4件,股・膝・足関節の屈曲制限(5件・4件・5件),体幹筋緊張の左右差4件,座位能力分類III6件であった。対象の13件は解決策を複合させていた。【結論】①では,幅の広い普通型車椅子へ乗車していたが,主に脊柱の側弯により左右へ体幹が傾き,座位保持能力の低下がみられ,ラテラルサポートを使用したと考える。②では,座面の左右に高低差をつけた要因である体幹の左右への傾きは,機能的原因が多岐にわたり特定が出来なかった。③では,下肢の屈曲制限があり,特に股関節の制限から体幹の左右への傾きと後傾位が生じ,座位保持が難しくなってきたため,股関節の伸展が可能なクッションを使用したと考える。④では,③とほぼ同様だが,体幹の筋緊張の左右差も含め,座位保持が困難であったが,普通型車椅子に乗車していたため,車椅子の変更を行う必要があったと考える。難渋した事例の解決策は,座位能力分類に合わせた車椅子を選択し,股関節の伸展や体幹の傾きに合わせたクッションやラテラルサポートを複合させることが必要と考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680554331904
  • NII論文ID
    130005417904
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.0846
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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