家庭用身体組成計の臨床応用の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- ―除脂肪量指数・脂肪量指数の妥当性―
説明
【はじめに,目的】体格栄養評価にはBody Mass Index(BMI)があり,簡易的で広く用いられている。しかし,BMIは,身長・体重で構成されているため,骨格筋量や脂肪量等の体組成成分の変化が把握できない。特に高齢者はBMIの変化がない場合でも,体組成成分の変化を示すことがあるため,体格栄養評価においては体組成成分をみる必要がある。そこでこの指標に代わりに体格の影響を補正した除脂肪量指数(fat-free mass index:FFMI),脂肪量指数(fat mass index:FMI)が身体組成の評価に用いられている。身体組成の測定には,CT法,MRI法,生体電気インピーダンス(BIA)法,二重エネルギーX線吸収法(DXA)法などがある。サルコペニアの筋肉量の判定にはDXA法,BIA法が用いられ,この2つは機器による筋肉量の診断基準が設定されている。その中でもBIA法は非侵襲で,簡便に測定できることから家庭用の体組成計としても頻用されている。BIA法は,生体組織の電気抵抗値を測定することにより体組成成分を推定する方法であり,測定精度の高いDXA法と同等に測定できるといわれている。しかし,これまでの報告では高価な機器を使用したものが多いため,臨床でも使いやすい一般的な家庭用身体組成計の妥当性を検討することとした。【方法】対象は,健常若年者102名(男性63名,女性39名,年齢19.6±1.6歳)である。BIA法による身体組成測定には,InBody520(インボディ・ジャパン社製)と家庭用身体組成計インナースキャン(TANITA社製・BC-622)を用いた。測定方法は,測定機器に定められている方法に従った。対象者は床に設置された機器の定位置に裸足で立ち,付属のグリップを持ち,両腕が体幹,下肢が接しない姿勢で測定を開始した。インナースキャンについては測定した体重,体脂肪率から体脂肪量,除脂肪量を求めた。また,体脂肪量,除脂肪量からFMI,FFMIを算出した。統計解析はPearsonの相関係数を求めた。【結果】各機器で測定された体組成からFMI,FFMIを算出した。対象者全員のFFMIはr=0.97(p<0.01),FMIはr=0.97(p<0.01)と非常に強い相関がみられた。性別にわけた結果でも,男性のFFMIはr=0.96(p<0.01),FMIはr=0.97(p<0.01),女性のFFMIはr=0.92(p<0.01),FMIはr=0.96(p<0.01)と非常に強い相関がみられた。【結論】若年健常者の場合,家庭用身体組成計で得られたFFMI,FMIとも相関係数は1に近い値であった。また,性別による差も認められないことが明らかになった。これより,持ち運びが楽で操作も手軽な家庭用体組成計の使用も十分考慮すべきと考えられた。しかし,本研究は対象が限られているため,今後は対象者範囲を広げ臨床での有用性について明らかにしていく必要がある。
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2015 (0), 1423-, 2016
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680554524288
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- NII論文ID
- 130005418481
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可