超音波画像診断装置を用いた片麻痺児の下腿三頭筋について

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  • 骨格筋の質的・量的評価による比較

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p></p><p></p><p>超音波画像診断装置による骨格筋の質的・量的評価として超音波エコー輝度(以下,筋輝度)や筋厚を用いた報告がなされてきているが,脳性麻痺児等を対象とした研究は少ない。そこで,本研究では脳性麻痺等の片麻痺を呈する児の麻痺側・非麻痺側下腿三頭筋の筋輝度や筋厚,腓腹筋羽状角(以下,羽状角)について超音波画像診断装置を用いて比較・検討を行ったので報告する。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p></p><p></p><p>対象は脳性麻痺や脳症後遺症等の片麻痺児で粗大運動機能分類システム:レベル1の男女12名(平均年齢7.2±2.51歳)。方法は超音波画像診断装置(東芝メディカルシステムズ社製)を用い,測定条件は周波数やGainを統一し,B-mode,8MHzで撮影した。測定肢位は腹臥位で膝関節伸展位,足関節は検査台から出し,安静状態で両側の下腿最大膨隆部位(下腿長を100%とし腓骨頭下端から26%部位)を縦断画像にて測定した。装置内蔵の距離・角度測定機能を用い,筋厚は内側腓腹筋(以下,MG),ヒラメ筋(以下,Sol)とも表層腱膜から深層腱膜の2点間距離とし,羽状角は筋束と深層腱膜のなす角を測定した。また,画像解析ソフト(ImageJ)を用いて麻痺側・非麻痺側のMG・Solの筋輝度を256段階で表現されるGray-scaleのヒストグラムの平均値で算出した。統計処理はWilcoxonの符号付順位和検定を用い,有意水準は危険率5%未満とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p></p><p></p><p>麻痺側MGは非麻痺側と比べて筋輝度が有意に高く,筋厚が有意に薄く,羽状角は有意に角度が小さかった(p<0.01)。(麻痺側MG輝度中央値[25%値-75%値]単位:非麻痺側MG輝度中央値[25%値-75%値]単位=125.2[107.44-150.82]pixel:99.4[91.75-112.48]pixel,麻痺側MG厚:非麻痺側MG厚=7.5[6.03-9.93]mm:10.6[8.83-13.00]mm,麻痺側羽状角:非麻痺側羽状角=9.6[7.00-14.50]°:13.3[12.00-15.75]°)</p><p></p><p>麻痺側Solは非麻痺側と比べて筋輝度,筋厚とも有意差はなかった。(麻痺側Sol輝度:非麻痺側Sol輝度=69.1[59.30-79.70]pixel:63.9[50.08-79.11]pixel,麻痺側Sol厚:非麻痺側Sol厚=13.0[10.80-14.95]mm:13.0[9.90-17.53]mm)</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p></p><p></p><p>先行研究では超音波画像診断装置は筋内の脂肪・結合組織といった非収縮組織が増加した筋は高輝度に映り,低輝度の筋と比べて相対的に筋繊維断面積が減少している(福元ら,2015)。また,羽状角が大きいほど生理学的断面積が大きくなるため,筋力の発揮に有意となる(市橋,2014)等の報告がある。今回,片麻痺児の麻痺側MGの質的・量的な違いが明らかになり,筋繊維断面積は減少していることと生理学的断面積も小さく,筋力の発揮が行いづらいことが示唆された。また,Sol輝度と筋厚に有意差が認められなかったことから,歩行が自立していることでSolは質的・量的に維持されやすいことが考えられる。</p><p></p><p>超音波画像診断装置を用いた質的・量的評価は個々の筋の性質を理解することに繋がり,理学療法を実施する上で有益な情報を得ることが出来る。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680554990464
  • NII論文ID
    130005608750
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0715
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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