二重課題トレーニングによる長期介入が健常高齢者の運動および認知機能に与える影響

DOI
  • 森田 恵美子
    藍野大学医療保健学部理学療法学科 大阪市立大学大学院医学研究科運動環境生理学
  • 横山 久代
    大阪市立大学大学院医学研究科運動環境生理学 大阪市立大学都市健康・スポーツ研究センター
  • 今井 大喜
    大阪市立大学大学院医学研究科運動環境生理学 大阪市立大学都市健康・スポーツ研究センター
  • Nooshin Naghavi
    大阪市立大学大学院医学研究科運動環境生理学
  • 竹田 良祐
    大阪市立大学都市健康・スポーツ研究センター
  • 太田 暁美
    大阪市立大学大学院医学研究科運動環境生理学
  • 河合 英理子
    大阪市立大学大学院医学研究科運動環境生理学
  • 半野 源太
    大阪市立大学大学院医学研究科運動環境生理学
  • 鈴木 雄太
    大阪市立大学大学院医学研究科運動環境生理学 大阪市立大学都市健康・スポーツ研究センター
  • 岡崎 和伸
    大阪市立大学大学院医学研究科運動環境生理学 大阪市立大学都市健康・スポーツ研究センター

説明

<p>【はじめに,目的】2015年の厚生労働省の発表によると,我が国における認知症患者数は,2025年には700万人を超えて,65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症に罹患すると推定されている。認知症予防として,二重課題下での運動は,前頭前野領域の脳血流反応を増加させるため有効な手段とされている。我々は以前,12週間の介入試験を実施し,二重課題運動が単一課題運動に比べ,健常高齢者の認知機能改善に有効であることを報告した。本研究の目的は,その後も2年間運動を継続した高齢者を対象に,二重課題トレーニングによる長期介入が運動・認知機能にどのような影響をもたらすのか検証することである。</p><p></p><p>【方法】対象者は2年前の介入試験に参加した65歳以上の男女19名(73.2±3.5歳)とし,その後任意に2年間運動を継続した8名(運動群)と,継続しなかった11名(非運動群)に分け検討した。運動群は,1回60分間,週1回の集団運動教室に参加し,指導者の下,二重課題運動を中心としたプログラムを2年間に渡り実施した。評価項目は,身体・運動機能として,BMI,体脂肪量,下肢筋量,大腿四頭筋筋力,最大一歩幅(MSL),Time up and go testでの最大歩行速度時間(TUG),開眼片脚立位時間(片脚立位)を,認知機能として,日本語版Modified Mini-Mental State examination(3MS)の総得点および各認知領域(記銘と再生,長期記憶,見当識,注意力,言語流暢性・言語理解,語想起,視空間認知,抽象概念)における得点,トレイルメイキングテストの所要時間を評価した。統計処理は,群ならびに介入の効果について,繰り返しのある2元配置分散分析を用いて分析した。各項目の群間比較には対応のないt検定を,各群での介入による変化は対応のあるt検定を用い分析した。</p><p></p><p>【結果】身体・運動機能については,両群で2年後に大腿四頭筋筋力,MSL,TUGが低下し,有意な介入の主効果はみられたものの,交互作用はみられなかった。認知機能については,3MSの総得点(p=0.013),注意力(p=0.020),言語流暢性・言語理解(p=0.019)において有意な介入×群の交互作用を認め,非運動群では2年後にこれらの3項目における得点が低下したが,運動群では変化を認めなかった。また,運動群において,2年後の3MSの総得点と言語流暢性・言語理解における得点は,非運動群と比べ高値であった。</p><p></p><p>【結論】二重課題トレーニングは高齢者の認知機能を維持し,特に注意力と言語流暢性・言語理解に対して効果があった。一方で,身体・運動機能の維持のためには,トレーニング頻度の考慮が必要である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680555060736
  • NII論文ID
    130005609584
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.1504
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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