廃用性筋萎縮に対する低周波電気刺激及びパルス磁気刺激の予防効果の比較

DOI

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>廃用性筋萎縮を予防する手段の一つとして低周波電気刺激(ES)が広く用いられているが,刺激誘導時に皮膚や脂肪の電気抵抗による刺激電流の減衰が報告されている。このため,ESは表層に存在する筋に対しては効果的であるが,深層に存在する筋の予防効果は不十分であると報告されている。一方,パルス磁気刺激(MS)は磁場を発生させることで生体内に渦電流を生じさせて筋線維を収縮させるため,刺激強度が減衰することなく筋を刺激することができ,深層筋の予防に効果的であると考えられる。そこで本研究では,廃用性筋萎縮に対するESとMSの予防効果の相違を比較検討した。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>雄性Sprague-Dawley系ラット(615±7 g)を,対照群(CON群),2週間の後肢非荷重群(HU群),後肢非荷重期間中に低周波電気刺激を用いた群(HU+ES群),後肢非荷重期間中にパルス磁気刺激を用いた群(HU+MS群)に区分した。低周波電気刺激にはSEN-3301(日本光電)を用い,パルス磁気刺激にはPathleader(IFG)を用いた。ES及びMSの骨格筋刺激強度は,電気刺激の超最大刺激により足関節底屈筋を最大収縮させた際のトルク(MVC)を算出し,20% MVCとなる刺激強度に設定した。刺激周波数50 Hz,パルス幅350 μsecにて1.3秒間on,1.7秒間offの周期で20回×5セット/日の頻度で2週間実施した。実験期間終了後,腓腹筋内側頭とヒラメ筋を摘出し,急速凍結した。凍結した筋から作製した薄切切片をATPase染色(腓腹筋内側頭;pH 4.45,ヒラメ筋;pH 4.20)し,筋線維横断面積を計測した。統計処理は一元配置分散分析とTukeyの多重比較検定を用い,有意水準は5%未満とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>腓腹筋内側頭の筋線維横断面積は,CON群に比較してHU群で有意に低値を示したが,HU+ES群及びHU+MS群では有意な低値は認められなかった。また,HU+ES群とHU+MS群の間に有意な差は認められなかった。ヒラメ筋の筋線維横断面積は,CON群に比較してHU群,HU+ES群及びHU+MS群で有意に低値を示した。一方,HU群に比較してHU+ES群では有意な差は認められなかったが,HU+MS群では有意に高値を示した。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>本研究の結果から,表層筋である腓腹筋内側頭では低周波電気刺激とパルス磁気刺激に予防効果に差は認められなかったが,深層筋であるヒラメ筋ではパルス磁気刺激が低周波電気刺激に比較して高い予防効果があることが明らかになった。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680555085312
  • NII論文ID
    130005608511
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0467
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ