意欲低下と心身機能との関係について
-
- 大野 博幹
- 特定医療法人清翠会牧リハビリテーション病院
書誌事項
- タイトル別名
-
- 整形疾患患者を対象に
説明
<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>意欲は私たちが日常生活を過ごす中でよく使われる言葉であり,何か行動をする時には意欲を持ちながら取り組む事も多い。その意欲は様々な分野で研究が行われており,医療分野では「現場スタッフの仕事に対する意欲向上」の研究が多々行われている。しかし,患者の意欲と身体・認知機能を評価し分析した先行研究は多くはなされていない。</p><p></p><p>そこで今回,意欲と身体・認知機能との関係性を2つの評価項目を用いて客観的に評価分析した。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は平成26年4月~平成27年3月までに入退院した整形疾患8名,性別は男性6名,女性2名であり年齢は74.5歳(±7.73)であった。入院期間は75.12日(±13.11)であり,1人当たりの評価回数は3回で,評価期間は入院時から退院時までとし,月に1回評価を実施した。対象外は失語症・認知症(長谷川式簡易知能評価で20点以下)とした。</p><p></p><p>評価方法としては意欲の評価には「やる気スコア」を使い,身体・認知機能の評価にはFunctional Independence Measure(以後FIM)を使い評価した。</p><p></p><p>統計学的手法はExcel統計の相関関係を示すPEARSONを用いて,各回のやる気スコアとFIMとの相関関係を分析し,その相関関係に有意差があるか確認する為,p値を分析した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>やる気スコアの1回目平均点は8.37点であり,2回目平均点は9点と,1回目平均点と2回目平均点を比較すると0.63点向上した。3回目平均点は10.25点であり,2回目平均点と3回目平均点を比較すると0.75点向上した。</p><p></p><p>FIMの1回目平均点は99点であり,2回目平均点は107.87点であった。1回目平均点と2回目平均点を比較すると8.75点向上した。3回目平均点は114.25点であり,2回目平均点と3回目平均点を比較すると6.38点向上した。</p><p></p><p>各回のやる気スコアとFIMとの相関関係をPEARSONを用いて分析した結果,1回目は0.561と正の相関関係を示し,2回目は0.209と弱いながらも正の相関を示した。3回目も0.371と弱いながらも正の相関関係を示した。</p><p></p><p>次に各回の相関関係の有意差を分析した。1回目はp=.14,2回目はp=.61,3回目はp=.72と各回の相関関係は有意差が得られなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>今回,意欲とFIMとの関係を調査,分析したが相関関係に有意差が得られなかった。この様な結果に至った要因として,経過と共に退院先が明確となり身体機能の事だけでなく,金銭的問題や家族関係等の社会的要因や入院日数等の影響があった可能性があると考える。また,対象者が8名と少ない事も影響していると考える。</p>
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 2016 (0), 0206-, 2017
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680555822464
-
- NII論文ID
- 130005608206
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可