心拍数を用いた代謝当量の推定は年齢の影響を受けるのか?

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【はじめに,目的】心臓リハビリテーションを実施する際に,運動耐容能は運動処方,生活指導における重要な指標である。しかし急性期では,心肺運動負荷試験(以下CPX)を実施することが困難な場合が多く,各症例に応じた代謝当量(以下METs)を把握した上での運動療法はしばしば困難である。近年,Wicks.J.R.らは安静時ならびに運動時の心拍数からMETsを推定する方法を報告し(Med Sci Sports Exerc. 2011),また,本学会で山本らが心疾患患者を対象に同様な方法でMETsを推定可能か検討した。しかし先行研究では対象に壮年者が多く,心疾患の高齢者においても同様な推定が可能であるかは不明である。運動負荷に対する心拍数の反応は年齢によって異なる(ACSM, 2011)ことから,年齢も考慮して心拍数からMETsを推定する必要がある。そこで,本研究では心疾患患者を壮年者と高齢者に分類し,METsの推定式に年齢が影響するかを調査することを目的とした。【方法】2012年4月から2015年9月までにCPXを実施した男性患者のうち,虚血性心疾患,弁膜症および心不全と診断された91例を対象とし,65歳未満を壮年群(n=49,49±8.4歳),65歳以上を高齢者群(n=42,70±3.5歳)に分類した。測定項目は,患者背景因子として年齢,性別,診断名,左室駆出率(LVEF),脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)および服薬状況を診療録より調査した。CPXデータより,安静時および運動負荷1分ごとのHRとMETsを調査した。解析は,先行研究に準じてHRからHR index(運動時HR/安静時HR)とHR net(運動時HR-安静時HR)を算出し,METsと各指標の相関はPearsonの積率相関係数を用いて算出した。また,従属変数をMETs,独立変数を運動時HR,HR indexおよびHR netとした重回帰分析をそれぞれ実施し,予測式の算出と寄与率を評価した。【結果】91例から得られた816個のデータを解析対象とした。壮年群と高齢群におけるLVEFは52.1±16.2%と57.4±12.8%,BNPの中央値は78.4(四分位範囲27.3-231.5)pg/mlと71.5(四分位範囲46.3-156.6)pg/ml,β遮断薬内服率は73.4%と59.5%であった。Pearsonの積率相関係数の結果,2群ともにMETsは運動時HR,HR indexおよびHR netと有意な正の相関を認めた(すべてP<0.001)。重回帰分析の結果,HR indexを独立変数としたMETs予測式は,2.9×HR index-0.2(adjusted R2=0.513)と3.1×HR index-0.9(adjusted R2=0.610)が,HR netでは0.05×HR net+2.3(adjusted R2=0.614)と0.05×HR net+2(adjusted R2=0.708)が算出された(すべてP<0.001)。【結論】本研究の結果より,METsの推定には年齢の影響を受けず,壮年と高齢ともにおおむね同等な予測式でMETsの算出が可能であることが示された。また壮年,高齢ともにHR netを用いたMETsの推定(壮年群0.05×HR net+2.3,高齢群0.05×HR net+2)の方が有用であり,高齢群でより寄与率が高いことが示された。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680555871744
  • NII Article ID
    130005418196
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.1174
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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