大腿骨近位部骨折術後2週における杖歩行の可否を予測する要因

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  • 決定木分析による検討

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>大腿骨近位部骨折(Hip Fracture:以下HF)において,術前の評価から術後早期の歩行可否を予測できることは,急性期病院から直接自宅へ退院すべきか,それとも転院しリハビリテーションを継続すべきかを判断する上で有用である。HF症例における歩行能力の予測因子については,年齢,受傷前の歩行能力,認知機能などが報告されている。しかし,これら多くの報告で,統計解析として用いられているロジスティック回帰分析は,予測式が複雑になることや説明変数間の相互関係が分かりにくい。その点で,複数の説明変数の組み合わせから従属変数を予測する手法である決定木分析は,臨床判断の指針として有用と考える。本研究の目的は,決定木分析を用いて,HF症例における術後2週時点での歩行可否を判断するためのモデルを提示することである。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>本研究のデザインは,コホート研究とした。研究期間は2014年11月から2016年9月とした。対象の選択基準は1)HF患者,2)手術を施行,3)厚生労働省の障害高齢者日常生活自立度判定基準でJ・A,4)認知症高齢者の日常生活自立度判定基準でI・II,5)受傷前の歩行様式が独歩・杖とした。測定項目は,年齢,性別,骨折分類,障害高齢者日常生活自立度判定基準,認知症高齢者の日常生活自立度判定基準,機能的評価(Barthel Index:以下BI),杖歩行可否とした。障害高齢者日常生活自立度判定基準,認知症高齢者の日常生活自立度判定基準,BIは,術前に担当理学療法士が問診により受傷前の状態を評価した。杖歩行可否は,術後2週に担当理学療法士が測定した。杖歩行可否は,理学療法士が対象者の身体に触れることなく連続40mの杖歩行できれば可,できなければ不可と判定した。</p><p></p><p>統計解析は,従属変数を杖歩行可否とし,独立変数を年齢,性別,骨折分類,障害高齢者日常生活自立度判定基準,認知症高齢者の日常生活自立度判定基準,BIとした決定木分析を行った。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>78例のデータを得た(年齢81.7±8.8歳,女性62例・男性16例)。78例のうち杖歩行可群は31例,杖歩行不可群は47例であった。決定木分析の結果,対象における正分類率85.9%であり,交差検証による誤差率は0.192であった。術後2週で杖歩行が可能となるための因子として,年齢,障害高齢者日常生活自立度判定基準が選択された。本モデルの第一層では年齢が82.5歳を境に2群に分かれた。第二層では障害高齢者日常生活自立度判定基準がJ2を境に2群に分かれた。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>HF症例では,第一に年齢を評価し,その値によって障害高齢者日常生活自立度判定基準を確認することで術後2週の歩行可否を判断できる可能性がある。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680556021632
  • NII論文ID
    130005608256
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0240
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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