腱板断裂術後6ヵ月において関節可動域制限が残る症例の特徴は何か?

DOI
  • 高橋 友明
    北アルプス医療センターあづみ病院肩関節治療センター
  • 畑 幸彦
    北アルプス医療センターあづみ病院肩関節治療センター
  • 石垣 範雄
    北アルプス医療センターあづみ病院肩関節治療センター
  • 雫田 研輔
    北アルプス医療センターあづみ病院肩関節治療センター
  • 田島 泰裕
    北アルプス医療センターあづみ病院肩関節治療センター

抄録

<p>【はじめに】腱板断裂術後6ヵ月は腱板縫合部が修復される時期であるという報告もあるが,臨床現場では術後6ヵ月を過ぎても可動域制限が残存する症例を時々経験する。今回,腱板断裂術後6ヵ月で可動域制限が残存する症例の特徴を明らかにする目的で調査したので報告する。</p><p></p><p>【方法】対象は,広範囲腱板断裂を除く腱板全層断裂に対してmini open repair法を施行された79例79肩である。内訳は,手術時年齢が平均65.7歳,男性41肩・女性38肩,右50肩・左29肩であった。まず術後6ヵ月時の関節可動域を用いて,対象を挙上角度が150°以上かつ外転角度が90°以上の良好群54例54肩とそれ以外の不良群25例25肩の2群に分けた。次に2群間で,病歴(手術時年齢,性別,手術側,飲酒歴,喫煙歴および罹病期間),断裂サイズ,術前と術後6ヵ月における日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下,JOAスコア)とThe University of California at Los Angeles Shoulder Score(以下,UCLAスコア)および術後6ヵ月の腱板付着部のMRI評価の4項目について有意差検定を行った。また,術後6ヵ月の屈曲,外転のそれぞれの角度と術前可動域(屈曲,外転,下垂位外旋,90°外転位内旋,90°外転位外旋)との相関を調査した。なお,肩関節可動域は,同一検者が5方向(屈曲,外転,下垂位外旋,90°外転位内旋,90°外転位外旋)について他動的に測定した。MRI評価は斜位矢状断,斜位冠状断および水平断のT2強調画像を用いて村上の分類に従って3群に分類した。統計学的解析は,性別と手術側についてはχ2検定を用いて行い,断裂サイズとMRI評価についてはマン・ホイットニ検定を用いて行い,手術時年齢,JOAスコアおよびUCLAスコアについてはウィルコクソン符号付き順位和検定を用いて行い,また,術後6ヵ月の屈曲,外転角度と術前可動域との相関は,Spearmanの相関係数を使用した。</p><p></p><p>【結果】2群間比較に関しては,病歴と断裂サイズについては,良好群と不良群の2群間で有意差を認めなかった。術前後のJOAスコア・UCLAスコアは,不良群のJOA総合点,UCLA Total scoreが共に良好群より有意に低かった(P<0.05,P<0.05)。術後6ヵ月時のMRI評価については,2群間における有意差は認めなかった。次に,相関関係に関しては,術後6ヵ月の屈曲と術前角度との間で,正の相関を認めたのは屈曲(r=0.50,P<0.01),外転(r=0.47,P<0.01)および90°外転位外旋であった(r=0.43,P<0.01)。術後6ヵ月の外転角度と術前角度との間で,正の相関を認めたのは屈曲(r=0.52,P<0.01),外転(r=0.63,P<0.01)および90°外転位外旋(r=0.54,P<0.01)であった。</p><p></p><p>【結論】術後6ヵ月での挙上制限は,腱板の修復を阻害しなかったが肩関節機能を低下させた。それは術前の屈曲,外転および90°外転位外旋と相関しており,これらの制限を術前理学療法によって改善することが重要であると考えた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680556063616
  • NII論文ID
    130005608384
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0259
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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