片麻痺患者が歩きはじめる際の先行肢の選択と立位・歩行姿勢の関係

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<p>【目的】片麻痺患者は患者によってどちらの下肢を一歩目に振り出す足(先行肢)とするかが異なる。先行研究では,非麻痺側を先行肢とした際に姿勢の非対称性が増悪し,歩幅も狭くなるという報告や,非麻痺側を先行肢とした際には動作が効率的になるという報告があり,どちらの足を先行肢とすべきかのコンセンサスは得られていない。先行肢が異なる患者同士の身体機能や立位姿勢,歩行様式の違いを分析することが本研究の目的である。</p><p></p><p></p><p>【方法】対象は歩行可能な脳卒中片麻痺患者83名(平均年齢68.8±6.63歳,平均発症期間233.4±320日)である。身体機能データとして,Fugl-Meyer Assessment(FMA)・FIMの各項目の得点,10m歩行時間を抽出した。運動学的データとして,安静立位時の体重に対する麻痺側下肢への荷重率(麻痺側下肢荷重率),歩行時の左右歩幅比(非麻痺側歩幅に対する麻痺側の歩幅の割合),歩行遊脚期の股関節屈曲モーメント最大値,立脚期・遊脚期の時間を抽出した。運動学的データは三次元動作解析装置(VICON社製)と床反力計(AMTI社製)にて計測した。3回歩行した際に毎回同じ足から歩いた場合にその足を先行肢とし,麻痺側下肢を先行肢とする群(A群45名)と,非麻痺側を先行肢とする群(B群38名)に分けた。毎回同じ足から歩き始めない者は対象から除外した。A・B群の上記指標の差をMann-WhitneyのU検定にて比較した(有意水準5%)。</p><p></p><p></p><p>【結果】身体機能の比較では,10m歩行時間(A群22.4±13.1秒,B群16.3±7.78秒),FIM移乗(A群6.1±0.8点,B群6.5±0.7点),FIM階段(A群2.7±2.1点,B群4.4±2.2点)に有意な差があった。運動学的データでは,麻痺側下肢荷重率(A群40.5±9.7%,B群46.8±5.2%),歩幅比(A群530.0±3497.8%,B群100.5±35.6%)に有意な差があった。</p><p></p><p></p><p>【結論】身体機能の比較では,B群はA群より高い能力を有しており,身体機能の高い患者は非麻痺側から歩行を開始する傾向があることがわかった。立位時の比較では,A群では麻痺側下肢への荷重率が4割ほどであったが,B群では左右同程度の荷重がされており,立位姿勢がより対称であることがわかった。歩行時の比較では,A群では非麻痺側の歩幅が狭く,左右の歩幅に大きな差があることが分かった。B群の歩幅比は約100%で,麻痺側・非麻痺側の歩幅が同程度であることが分かった。以上のことから,B群は身体機能や歩行能力が高く,また,姿勢の非対称性も少ないことが示唆された。本研究では,先行肢の選択と身体機能・立位歩行様式の因果関係を明らかにすることはできない。しかし,本研究結果から,身体機能の向上に合わせて非麻痺側を先行肢とするように推奨することができると考える。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680556854016
  • NII Article ID
    130005609177
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.1094
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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