秋吉石灰岩体の2種類の衝突起源物質と形成過程について

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  • Two stage impact process of Akiyoshi limestone blocks

抄録

1.はじめに: 古生代(石炭紀-二畳紀)の秋吉石灰岩知己の形成は、化石逆転構造説[1]から始まり、サブダクションによる海山破壊説[2]、そして大陸移動運搬衝突破壊説[3]などが報告されている。1985年[3]に地下の石灰岩のESR・物性変化の解析で(時計方向の)逆転を確認したが、地下の方解石の異常に収縮したのは、衝突起源の物質が共存するため海底での衝突イベントである[4]。今回の衝突性物質の発見により、秋吉台石灰岩地域の形成過程の問題点が解決できることが分かった。<br> 2.これまでの秋吉石灰岩体の問題点と解明:これまでの秋吉石灰岩の議論は、化石の上下関係と古生層の取り込みが主体的であった。1)化石の逆転構造とある化石層の連続性の欠如、2)古生代の石灰岩と地層が中生代の地層に囲まれている、3)古生層石灰岩が日本に点在している、4)南方のさんご礁石灰岩からなっている、などはサブダクションによる運搬破壊で説明されたが、「日本列島が動いていない」ことが前提となっている。サブダクションのプレート移動が大陸移動の原動力になっているので、南方から日本の基盤岩が中国大陸とともに移動したことから始まる[5-7]。1)約3億年の古い石灰岩が最近まで溶けずに残っている、2)約3億5千万年前から1億年間の化石が溶けずに熱変成をあまり受けていない(機械的破壊が多い)、3)石灰岩が古生代末期で欠如していることなどの問題点は、三浦ら(2001,2003)[5,7]による秋吉台地下掘削試料に隕石衝突物質や方解石の破壊残存構造が残っていることから、形成時に大きな衝突イベントで変化したと説明できる。さらに詳細な衛星画像や地形解析から円形地形とその位置に隕石衝突岩石や鉱物物質が発見された。火山列島日本に特徴的な「若い火山性物質(特に割れ目に沿う貫入岩)による混合破壊」が進んでいる。秋吉石灰岩地域は、2孔以上の円形衝突孔地形が、高度(200m,400m)と時代(CPB,PTB)毎に残存している[7]。<br> 3.方解石の物性(格子常数)の異常変化:地下243mの方解石の格子定数変化は、他の地質境界(イタリア・デンマーク)の堆積性方解石に比べて大きく収縮変化しているので、衝突地点に近い場所での方解石の変化の残存である。<br> 4.衝突起源物質:秋吉台の地表と地下243mの掘削試料、衝突円形リム(南東、北西地域)から、方解石以外に炭素高圧鉱物(チャオアイト)、隕鉄成分(テーナイト系)、高圧シリカ鉱物のX線回折ピークが同定され、微量のFe-Ni含有粒子(10μmサイズ)が検出された。<br> 5.形成過程:衛星画像・地形デジタル地図と古地磁気・古環境データのコンピュターシミュレーションで、赤道付近から約6千km中国北部岩体とともに中国南部岩体を残して、一気に北上した。PTB 境界での海底衝突[5]で地下に埋没して、高松地域の衝突期[6]に日本列島形成で上昇して、風化を受け現在の石灰岩体だけが残った [7]。その名残りが,350Maと250Maの隕石衝突円形地形の移動の2種類の地形として解析できた.約3億5千万年前からの古い石灰岩が熱変成を受けずに1億年間も残り、古生代末期(250Ma)で欠如していることは、隕石衝突で孔内堆積した石灰岩がPTB衝突で地球深く潜り込み保持されたと考えられる。強い石灰岩の破壊構造は、衝突効果と大陸移動時と上昇時の破壊による。点在する(または地下で連続する)古生代石灰岩は、衝突時の散逸効果と大陸の北上の違いにより、日本から中国にわたって見られる。秋吉石灰岩の化石逆転構造の形成は、地下243mの褐色粘土層の衝突物質の混入状態から古生代末期PTBでの既存衝突構造の地下取り込み時での逆転構造の残存と解釈できる。地下に埋没した古秋吉構造が、日本列島ができるときに中国大陸から分離して、約15Ma前の「高松―香川地域」の隕石衝突時[7]に地下から上昇して、浸食を受けて、現在のカルスト地形が残ったものである。その際に孔内堆積物は、低地部分が浸食時に散逸したが、中央丘的な上昇地形が残存している。<br> 文献:<br> [1]Y. Ozawa (1923): J.Geol.Soc.Japan, 30, 222-243.<br> [2]H. Sano (1994): 山口地学会誌,33, 1-24.<br> [3]Y. Miura(1987): Bul. Akiyoshidai Museum Natural History, 22, 1-22.<br> [4]Y.Miura et al. (2001): Proc. Solar System Sci. Sympo. (ISAS), 23. 13-16.<br> [5]Y. Kaiho, Y. Miura et al. (2001): Geology, 29, 815-818.<br> [6]Y.Miura et al.(2002): Meteoritics and Planet. Sci., 37(S),101.<br> [7] Y.Miura and S.Tanaka (2003): Proc.Paper on Shock Waves in Japan. 79-82.<br>

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  • CRID
    1390282680567096576
  • NII論文ID
    130006960781
  • DOI
    10.14824/jampeg.2003.0.75.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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