コンドルール中のソーダライトとネフェリンの重要性

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  • Significance of sodalite and nepheline in chondrules

抄録

宇宙空間を漂う地球外物質中では、宇宙線照射による(n,γ)反応により35Clと37Clからそれぞれ36Clと38Clとが生じる。36Cl(半減期30.1万年)と38Cl(半減期37.24分)はβ-壊変等によりそれぞれ36Arと38Arとなる。このような場合、バルクコンドルールの40Ar/39Ar年代測定法では、宇宙線照射起源の36Arが年代値に不確定性をもたらす。また、アルゴン分析中に35Clと37Clは水素と結合し、分子量が非常に近い36Arと38Arの同重体として検出される可能性があるので年代の不確定性は増大する。コンドルールを用いた40Ar/39Ar年代測定を行なうにあたっては,予め分析試料の構成鉱物とその組成を把握する必要がある。特に,塩素を含んだ物質を考慮しなければならない。そこで、アエンデ隕石のコンドルール試料の組織解析及び構成鉱物の化学組成の分析をEMPを用いて行なった。 コンドルールは、主としてMgに富んだオリビンから構成されており、その集合体の間隙を輝石、斜長石、硫化鉄、隠微晶質が埋める。EMPを用いた元素マップ分析でコンドルールのメソスタシス中の一部に含塩素物質が含まれていることが分かった。その含塩素物質を岩石顕微鏡にて観察すると、ピンクから赤色であった。含塩素物質付近にはカリウムを1.8重量%まで含むネフェリンが存在する。鏡下でピンク色を呈する含塩素物質についてEMPで化学分析を試みたがネフェリンとソーダライトの中間的な組成であった。ClとNa2Oの分析値にかなりの幅が見られ明確な正の相関がある。ClとCaOの分析値は負の相関関係を示した。また、SiO2とAl 2O3の分析値に関しても負の相関関係を示している。鏡下でピンク色を呈する含塩素物質を微小部X線回折装置(Rigaku PSPC-MDG)を用いて解析したところ、複数の鉱物の回折ピークが見られた。PSPC-MDGでは低角度の測定が困難であり、はっきりした同定が行なえなかったが、ネフェリンやソーダライトの回折ピークと判断されうるピークも観察された。ソーダライトの主な産状はNaの多いアルカリ火成岩、例えばネフェリン閃長岩である。ネフェリンが周辺に存在していることから、含塩素物質はソーダライトである可能性が高い。 40Ar/39Ar年代測定を行うにあたって、対象とするコンドルールの組織観察を行い、塩素を含まない鉱物をパルスレーザー微小部分年代測定することが必要である。本研究で見いだされたネフェリンにはKが含まれているが、Clは全く含まれていない。ネフェリンを選び測定することでアエンデ隕石のコンドルール中の二次的な変成作用の検討ができるだろう。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680567591808
  • NII論文ID
    130006960870
  • DOI
    10.14824/jampeg.2004.0.68.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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