マリ共和国バオレ・バニフィニング地域Siriba–Sobara花崗岩中の金の産状

書誌事項

タイトル別名
  • Occurrence of gold mineral in the Siriba-Sobara granites from the Baole–Banifing area, Republic of Mali

説明

独立行政法人国際協力機構[JICA]およびその委託を受けた独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構[JOGMEC]は、マリ共和国政府の要請を受けて、同国南部のバオレ・バニフィング地域の鉱物資源賦存の可能性を探るために、平成12年度から地質調査・ボーリング調査などの鉱床探査を実施している。その結果、Siriba–Sobara地区北部において白雲母黒雲母花崗岩(Siriba–Sobara花崗岩)を起源とした風化帯中に広範な金高濃度域(>100ppb Au;最高値 17700ppb Au)を捕捉した。資源開発協力基礎調査報告書によると、Siriba–Sobara地区北部は極細粒から細粒砂質片岩を主体とした原生代前期のBirrimean累層群が広く分布し、中央部においてSiriba–Sobara花崗岩体が長径約700m×短径約300mのほぼ楕円形を示してNE–SW方向に貫入している。Siriba-Sobara花崗岩は、1770±40Maの白雲母年代が得られ、全岩分析結果からチタン鉄鉱系列に属すると考えられている。また、時に大きさ0.5–2.0mm程度の黄鉄鉱が最大3%程度鉱染するとされている。今回、Siriba–Sobara花崗岩中に金がどのように含まれているかを調べるため、新たに光学顕微鏡・SEM観察を行なった。用いた花崗岩試料では、原子吸光分析により135ppbの Au濃度が得られている。石英・カリ長石・アルバイト・黒雲母(および変質した緑泥石)・白雲母を主成分鉱物とした中粒白雲母黒雲母花崗岩であり、弱い風化作用を受けている。副成分鉱物としてガーネット・ルチル・イルメナイト・アパタイトなども含む。花崗岩試料中には鉱染による数mmから1–2cm程度の硫化鉱物のパッチも見られ、鉱石顕微鏡観察・SEM-EDX分析・粉末X線回折法の結果、数十から数百ミクロン大の硫砒鉄鉱の結晶粒の集合体であることがわかった。個々の硫砒鉄鉱の結晶粒の周縁部は分解してスコロド石となっている。硫砒鉄鉱パッチ中には輝蒼鉛鉱および自然ビスマスと思われる少量のビスマス鉱物が点在している。花崗岩中には稀に自形をしたガーネットが見られ、ガーネットを取り囲むように硫砒鉄鉱のパッチが発達している。ガーネットの内部にも硫砒鉄鉱およびそれが分解したスコロド石が包有されており、硫砒鉄鉱パッチとガーネット斑晶とがほぼ同時に成長したことを示唆している。今回のSEM観察により、このガーネットを取り囲んだ硫砒鉄鉱パッチ中から金が見い出され、(1)硫砒鉄鉱に直接取り込まれている、(2)硫砒鉄鉱が分解したスコロド石中に取り込まれている、(3)硫砒鉄鉱中に含まれるビスマス鉱物(輝蒼鉛鉱)中に含まれている、といった3通りの金鉱物の産状が確認された。とくに(3)の産状では、約10μm×20μmの矩形をした自形結晶が見られた。化学組成は、10wt%に満たない少量のAgを含むものの、他の元素の混入は少なく、比較的純度の高い‘自然金’であることがわかった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680567736832
  • NII論文ID
    130006960900
  • DOI
    10.14824/jampeg.2004.0.19.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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