かかわりに焦点を当てた中学生と年少者の交流学習

書誌事項

タイトル別名
  • The Interaction Learning focused on Relationships Junior high school Students and Younger Children
  • The Role and Challenge of class
  • (その2)事前授業の果たす役割と課題

説明

<br>【研究の目的】<br>  第一報(その1)では、中学生という時期に、授業において幼児との交流を行い、多様なかかわり方を経験することの意義を示した。<br>  本研究では、年少者との交流の場で展開される「幼児とのかかわり」をより効果の高い学習の場とするために実施した事前授業に焦点をあて、その内容と生徒の反応を分析・検討することで、事前授業の役割と課題を明らかにすることを目的とする。<br>  また、様々な条件から幼児との交流学習ができない学校も多い。そこで、保育体験学習ができない場合には、年少者である小学1,2年生との交流が、学習指導要領・「家族と家庭生活」「(2)幼児の発達と家族のねらい」を達成することにつながるかどうかを探ることも目的とした。<br> 【研究の方法】<br> (1)対象の概要<br> 対象中学生:さいたま市内公立中学校3年生(5クラス)<br> 対象児童:さいたま市内公立小学校1年生(3クラス)、2年生(2クラス)<br> 分析資料:授業毎のワークシート中に設けられた項目(自己評価・感想・ナラティブ等)、教師による観察、アンケートを分析対象とした。<br> (2)授業計画<br>  年少者との交流に向けて、中学生の意識が高まっていくように、意図的に幼児理解に関する授業を指導計画の中に配置した。特に交流時に生きる学習は何かと考え、幼稚園教諭や保育士が、幼児とかかわる際に効果的である内容を取り上げ、授業を2回実践した。内容は3,4,5歳児の会話の特徴、幼児の仲間入り、いざこざ、声かけ、発話についてである。<br> (3)交流活動<br>  収穫祭を兼ねたおやつ作りを一緒に行った。本番の前に、中学生は、準備実習1時間を設定した。また、おやつづくりの前に、小学生と交流する場面を2回設定した。どちらも昼休みの短い時間だが、1回目は交流する相手の確認と相手理解にいたる簡単なふれあい、2回目はペアでボール遊びを行った。<br> 【研究の結果と考察】<br> 1.幼児とのかかわり方の事前学習と交流学習<br>  交流後のアンケート結果から、幼児とのかかわりに関する授業が効果的であることがわかった。特に友達との関係づくりにおける会話の発達(3・4・5歳児の会話の特徴)や、保育者の関わり方(声かけ)が特に参考になったと答える生徒が多かった。印象的であったのは、授業を通し、自分の年少期の振りかえりができたことを参考に、交流したと答えた生徒がいたことである。<br>  しかし、2回のミニ交流とおやつ作り後の様々な形式の記述から、交流時に生徒が学んでいる内容が、今回の事前学習で取り上げた内容以外にもあることがわかった。交流時には、現実に接している相手とうまく関係をつくるにはどうしたらよいか、ということも学んでいた。今回この点について、事前の学習はしておらず、今後は、事前もしくは事後に設定していきたい。<br>  また、生徒と児童が一緒に調理実習をすることは、小学生はもとより、クラス担任の先生や家庭(特に母親)にも様々な影響を与えていた。この点も視野に入れながら、さらに広がりのある授業にしていくことが今後の課題である。<br> 2.年少者(小学1,2年生)との交流学習について<br>  中学生が、日頃から幼児との接触が少ないため、幼児と小学校低学年の児童との区別を気にせずに交流し、ねらいを達成することができた。交流後の記録から、事前授業で学んだ幼児理解に基づきながら、年少者理解につとめたり、かかわりを持っていたことを読み取ることができた。しかし、幼児の特性(無邪気なしぐさやいとおしさ等)を体験する意味では、幼稚園・保育園での乳幼児との交流学習が適切であると考える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680568651904
  • NII論文ID
    130006960945
  • DOI
    10.11549/jhee.49.0.29.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ