Cultivation abandonment and environmental conditions
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- MORIMOTO Takehiro
- University of Tsukuba
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- MURAYAMA Yuji
- University of Tsukuba
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- YAMASHITA Akio
- Rakuno Gakuen University
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- FUJITA Kazufumi
- Graduate Student, University of Tsukuba
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- WATANABE Hiromasa
- Graduate Student, University of Tsukuba
Bibliographic Information
- Other Title
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- 耕作放棄と環境条件との対応関係
- An analysis of the rural community statistics with GIS
- 農業集落カードを活用して
Description
環境と人間活動の関係について地理情報システム(GIS)を用いた研究が盛んになってきた。GISの普及と地域情報のデジタル化により,両者の関係を大量のデータで広範囲に検証可能になってきたためである。<BR> 筆者らはこうした試みの一つとして,農業集落カードを用いて環境と農業の関係を検討してきた。農業集落カードはこれまでも地図化によく用いられているものの,近年,統計のデジタルデータ化と,農業集落境界データの汎用的形式デジタルデータでの公表が揃ったことで,GISとの親和性が大きく改善され,以前よりも相当広範囲の分布を検討できるようになった。<BR> 本研究では農耕活動と環境の関係,およびその変化を取り扱う。具体的には耕作放棄地の分布と自然・人文環境との関係を検討する。とくに耕作放棄地率の分布パターン,および分布と環境指標の関係が,近年,耕作放棄地が急増する過程でどのように変わってきたかに焦点をあてたい。<BR> 使用した属性データは「2000年農業集落カード」(以下では農業集落カードと記す),地図データは「2000年農業集落地図データ」(以下では農業集落地図と記す)である。前者は農林水産省が実施した2000年世界農林業センサス農家調査および農業集落調査の成果が農業集落を単位として集計されCD-R等のメディアで販売されているものであり,1970年以降の農業センサス各年次のデータも一部ではあるが掲載されている。後者は農業集落境界のシェープファイルがCD-Rで販売されているものである。両者により,2000年時点の農業集落にもとづくものではあるが,1970年以降5年ごとの地図を描くことができる。<BR> 研究手順としては,まず関東地方1都6県をとりあげ,農業集落カードから合計18,885の農業集落について耕作放棄地率,および集落中心地の標高等の環境指標をCSV形式で抽出した。ただし耕作放棄地率のデータは調査の始まった1975年以降5年ごとの値に限られた。環境指標は2000年時点のデータしか掲載されていないため,1995年以前についてもこれで代用した。なお2000年に農業集落調査が行われなかった461の集落では集落の環境指標は不明であった。<BR> 次に各年時の耕作放棄率を地図化して分布のパターンおよびその変化を把握し,その背景,環境指標との関連を考察した。並行して耕作放棄地率と環境指標の対応を検討した。また,GISの特性を活かし,耕作放棄地率と東京都心からの距離の関係の空間的分析を行った。 JR東京駅を中心として幅20_km_ずつの9個のリングすなわち等距離帯を,多重バッファ機能によって生成し,各農業集落がどの等距離帯に位置するかを求めた。そして,このデータと耕作放棄地率の対応を検討した。<BR> 1975年には耕作放棄地率5_%_を超える農業集落は少なく,おもに東京・横浜大都市圏に相当する市街地の近傍と,関東地方の山間部にみられた。中間の平野部には5_%_以下の農業集落が広い範囲を占めていた。1990年までには前述の市街地近傍で高率の集落がより外側に展開し,関東地方周辺部において高率の場所が著しく拡大して耕作放棄地率の値が上昇した。中間の平野部にも一部にやや高率の集落が現れた。2000年にはほぼ全域において耕作放棄地率が明らかに上昇し,丘陵地・山間部の大部分に高率の場所が広がった。また,大都市から離れた平野部でも多くの場所で高率の集落がみられるようになった。 <BR>この間には,環境指標と耕作放棄地率の対応にも変化がみられた。標高帯との関係をみると,平均的には標高上昇にともなって耕作放棄地率が増大する傾向が強まった。東京都心からの距離帯との関係では,平均的には距離増加にともなって耕作放棄地率が増大する傾向が強まった.<BR> 以上の事実が示唆するのは,この間に,環境条件の恵まれなさが農業に強く影響するように,環境と農業の関係が変化したことである.その背景にあるのは,そうした地域で農業の基幹的部門となることの多かった養蚕,工芸農作物栽培(葉タバコ,コンニャクイモ),小規模な稲作,林産物(キノコ等)の衰退であろう.それらの部門は,80年代から90年代にかけてさまざまな政策的支持が縮小されたため,とくに条件に恵まれない地域において,国際的な価格競争等によって縮小の一途をたどった.環境条件を緩和する政策支持が縮小した結果,環境条件がより直接的に農業に影響を与えるようになったと考えることができる.
Journal
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- ABSTRACTS of the Annual Meeting, The Human Geographical Society of Japan
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ABSTRACTS of the Annual Meeting, The Human Geographical Society of Japan 2006 (0), 32-32, 2006
The Human Geographical Society of Japan
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680568953344
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- NII Article ID
- 130004596619
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
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