地理情報ソースとしてのポルトラーノ
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- 夛田 祐子
- 大阪市立都島工業高校
書誌事項
- タイトル別名
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- Portolan atlas as the source of geographical information
- A study on the Italian portolan atlas of Monno
- モンノ地図帳 L'Atlante di Monno を中心として
説明
ポルトラーノには、「航海案内書(付図として海図を含む)」、「海図帳」、「一枚ものの海図」の3つのタイプがある。現存するポルトラーノは第3のタイプが最も多いが、海図に表現できる地理情報は、ポルトラーノの語源となる「港portoのガイド」としては十分とは言いがたい。そこで、第1のタイプの航海案内書の地誌ページに焦点を当てて、文字情報がどのように航海者に沿岸海域の情報を提供したかを考察したい。<BR> 本発表では、1633年にイタリアで製作された『モンノ・ポルトラーノ海図帳L’Atlante di Monno』を取りあげる。この海図帳は作者によって『真の航海術L’Arte Vera Navegatione』と題されるように、航海技術に関する記述も詳しく、また7枚のポルトラーノ型海図も地誌ページに添えられた海図以外に挿入されている。地誌ページに関しては、ジブラルタル海峡から時計回りに港、岬、河川、湾、入江や島嶼についての記述がある。記述内容は、対象となる地名によって多寡はあるが詳しいものになると、前述の港からの距離、沿岸や海底地形の特徴、ランドマーク、水の補給、航海上の注意点、寄港する船の種類と寄港の可否や歴史的ことがらに及ぶ。ところで、海図で表現できる地理情報は、方位と距離、港の種別(寄港の可否)、沿岸海域の危険情報(岩礁・浅瀬の存在)である。しかしながら、実際に航海で使用すると想定すると、特に沿岸海域の情報は概要にすぎず、たとえば岩礁については海上からの目視は可能かどうか、どの航路をとれば安全に入港できるのか、また浅瀬についても水深やどの船種なら航行に適するかといった具体的情報を海図に求めるのは無理がある。ところが、地誌ページではこれらの具体的な情報が航海者に提供されている。地図情報と文字情報とがそれぞれの特徴を生かして、相互に補完しながら航海に役立ったかについて紹介する。
収録刊行物
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- 人文地理学会大会 研究発表要旨
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人文地理学会大会 研究発表要旨 2005 (0), 16-16, 2005
人文地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680569056256
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- NII論文ID
- 130005020880
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可