高校生からみた祖父母の機能と高齢者に関する学習経験の関連
書誌事項
- タイトル別名
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- Relationships between the functions of grandparents and learning experience of life and welfare of eldery people
説明
[目的]<BR> 高齢者との交流経験や接触頻度は、若者の肯定的高齢者観と正の関係にあることが明らかにされている。他方、孫世代にとって交流や接触機会が増えると考えられる祖父母との同居は、高齢者自身の健康状況や家族との人間関係によっては、必ずしも高齢者へのプラスイメージをもたらすものではないことが指摘されている。これらのことから、家庭科における「高齢者の生活と福祉」の授業構想には、体験的学習を取り入れること、高齢期を肯定的にとらえることに加え、高齢期の課題を家族や社会のあり方との関わりでとらえ、学習者の日常生活における課題と結びつく目標を設定することが重要である。これらをふまえた授業構想のためには、学習者自身の高齢者に対する認識を把握することが必要である。<BR> そこで本研究では、家庭科の学習者とその祖父母との関わりに注目し,孫からみた祖父母の機能と、学習者の高齢者に関する学習経験や世話意識との関連を明らかにすることを目的とした。<BR> [方法]<BR> 2007年1月、高校生に祖父母との関わりに関する質問紙調査を実施した。調査対象地域は、福岡県北東部に位置する4市1郡であり、いずれも大都市の通勤圏内にある郊外の中規模都市である。域内にある全ての県立高等学校の家庭科担当の教師に調査を依頼した。最終的な調査対象は、承諾を得られた6校の普通科9クラスおよび専門学科2クラスの1~3年生である。授業時に無記名自記式調査を集団実施し、その場で回収した。有効回収数418である。調査内容は、高齢者に関する学習経験、孫-祖父母関係評価尺度26項目(田畑ほか,1996)、祖父母の健康・介護に関する項目、家事労働に関する態度項目等である。<BR>[結果]<BR> 79.9%が、「高齢者の生活や高齢者との関わりについて学校で勉強したことがある」と回答し、「シニア体験」は54.2%、「授業や学校行事での高齢者の世話体験」は30.9%が体験ありであった。<BR> 孫-祖父母関係評価尺度は、田畑たち(1996)によって「存在受容機能」8項目、「日常的、情緒的援助機能」6項目、「時間的展望促進機能」8項目、「世代継承性促進機能」4項目の4因子が抽出されている。各尺度の信頼性係数(クロンバックのα係数)は、.703~.904であり、尺度の信頼性の高さが認められた。祖父母それぞれの因子得点の平均点を算出したところ、男子より女子が、高齢者の学習経験あるの方が、「存在受容機能」、「日常、情緒的援助機能」、「時間的展望促進機能」、「世代継承性促進機能」がいずれも高い傾向にあった。また、祖父母との居住形態では関連が見られなかったが、同居別居にかかわらず、父方の祖父母より母方の祖父母の機能の認識が高い傾向にあった。祖父母の世話への関わり意欲の高さと祖父母の機能の高さは、正の関係にあった。
収録刊行物
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- 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
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日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 50 (0), 43-43, 2007
日本家庭科教育学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680571353472
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- NII論文ID
- 130006961747
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可