小学校家庭科における炊飯学習に関する学びの実態
書誌事項
- タイトル別名
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- The outcome learning rice cooking in home economics at elementary school.
抄録
研究目的炊飯学習は小学校の家庭科において「米飯及びみそ汁の調理ができること」という目標が示されている。この学習はパイレックスの鍋で炊飯の様子を観察するなどして調理のプロセスを科学的に理解する学習と位置づけられることも多い。実際には鍋を用いて炊飯することの難しさや、日常的にはほとんどの家庭で炊飯器を用いているという現状を考えると、炊飯という調理を小学校の食生活学習にどのように位置づけるのかは検討を要する内容であると考える。本研究では、小学校での炊飯学習の実態を把握しその位置づけを検討するために、中学1年生を対象として、小学校で学んだ炊飯に関する知識がどのように定着し、どのように日常生活と関連しているのかを明らかにすることを目的とした。研究方法公立中学校1年生95名(男子49名、女子46名)を対象として、小学校での炊飯学習に関する質問紙調査を実施した。質問項目は、A小学校の炊飯学習で行ったこと、B炊飯に関する知識の定着度をはかる問題、C日常生活における炊飯経験の頻度、Dおいしいご飯とは(自由記述)の4つである。Aは行ったかどうかを、Bは正誤を、Cは選択肢より、Dは自由記述で回答を求めた。データ収集に際しては事前に研究目的とともに生徒に説明し了承を得て行った。実施時期は2014年1月~3月である。結果と考察小学校の炊飯学習で行った者の割合が高い項目は⑤米に水を吸水させた(67名、70.5%)、⑧ご飯をほぐした(67名、70.5%)であった。一方低い割合を示したものは、②炊飯器で米を炊いた(14名、14.7%)③米をざるに入れて洗った(55名、57.9%)であった。すべての項目を行った場合に8点として、各生徒の得点を見たところ平均は5.5点であった。炊飯学習に関する知識の定着度は、最も正答率の高い項目は⑨火を消してから、10分間くらいごはんを蒸らしておく(74.7%)、⑩ごはんを蒸らした後は、しゃもじで軽くほぐして乾いたふきんをしてふたをしておく(72.6%)であった。低い項目は、⑤米はよく吸収させるために5~10分間水につけておく(28.4%)、⑥米と水が入ったなべをコンロに置いて弱火で加熱して沸とうさせる(36.9%)であった。正誤問題10点満点のうち対象者の平均得点は5.1点であった。以上のことからは、吸水させることは知っているがどの程度の時間なのかはよくわかっていないこと、ごはんを蒸らしてほぐすことを理解していること、どのような火加減で加熱するのかはわかっていないことがわかる。つまり鍋を用いる炊飯はもとより炊飯器を用いるとしても十分な知識が身についていないということになる。さらに実際には日常生活ではほとんど炊飯を行うことがない。炊飯学習を通して習得する知識として、ご飯のおいしさを科学的に理解しているということが挙げられる。そこでおいしいご飯とは何かに対する回答を分析したところ、「甘み・甘いに関する記述」(33名)、「つやに関する記述」(33名)、次いで「あたたかい」(23名)が多く回答され、「やわらかい」、「ふっくら」、「白い」というご飯の状態を示す回答も見られた。これらの結果からは、生徒は水加減、火加減については十分理解していないが、蒸らすというような日常で見たり経験しやすいことは知識として身につけている。ただし、必ずしも科学的に理解したということではない。おいしいご飯の記述も科学的にとらえたというよりも「やわらかい」、「ふっくら」という経験的に理解しているごはんのおいしさを表現する記述に偏っていた。このように炊飯学習は小学生にとって理解すべき内容が多く、日常性も低く、技能を習得するにはハードルの高い学習であると言えるだろう。
収録刊行物
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- 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
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日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 57 (0), 17-, 2014
日本家庭科教育学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680571661440
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- NII論文ID
- 130006962031
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可