中学校技術・家庭科食生活指導の検討

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書誌事項

タイトル別名
  • The Reserch on the Teaching Method of Diet Life in the Home Economics of the Junior HIgh School
  • The Effect of Using Lunch Box Diet Model
  • 「弁当箱ダイエット法」活用の効果

抄録

1.目的<BR>  現在、中学校技術・家庭科の食生活学習において、栄養素の働きや食品の栄養的特徴を知り、1日分の献立を考えられる力を付けることが求められている。しかし、中学生にとって栄養素と食品を結びつけることが容易ではなく、1日に必要な食品の種類や概量を把握するための教材開発や指導の工夫が常に求められている。<BR>  本研究では、足立己幸・針谷順子による『弁当箱ダイエット法』を活用して、視覚により1食の食事量を把握させることにより日常の食事摂取の改善に資することを目的とする。<BR> 2.方法<BR>  調査対象者は山形大学附属中学校第1学年4クラス、男子69名、女子90名、計159名であり、このうち2クラス(男子35名、女子44名)を実験群(A群)とし、残る2クラス(男子34名、女子48名)を対照群(B群)とする。調査時期は、2008年5月~10月の家庭科授業時間である。<BR>  分析に用いた調査は、第1時間目に調査したA、B両群の「1日の食事摂取状況調査及び食事量の自己評価」とA群のみに実施した1時間目の「『弁当箱ダイエット法』学習後の食事量の自己評価」と、食生活学習最後の8時間目に実施した「1日の食事摂取状況及び食事内容の自己評価」、「バランスのよい食事に対する意識調査」である。<BR> 3.結果及び考察<BR>  学習日の朝食と前日の昼食、夕食の食事内容を記述させた内容を主食、主菜、副菜に分類し、「主食+主菜+副菜」、「主食+主菜」、「主食+副菜」、「主食のみ」のように組み合わせ別に集計した結果、全生徒の朝食は「主食+主菜+副菜」が42.9%、「主食+主菜」と「主食のみ」がいずれも25%であった。昼食(弁当)は「主食+主菜+副菜」が80%、「主食+主菜」が13.6%であった。夕食は「主食+主菜+副菜」が55.8%、「主食+主菜」14.7%、「主食+副菜」13.5%と続く。この食事摂取状況の栄養バランスについては「よい」と「まあまあよい」を合わせると朝食は66%、昼食は85.7%、夕食は70.5%であり、自己評価は甘いことがわかった。A群には「弁当箱ダイエット法」を学習した後に再度自己評価させたところ、主食と副菜が「少ない」と「すこし少ない」が増加し、1食分の適正な食事量と栄養バランスを把握したことが読み取れる。<BR>  題材最終回で再度食事摂取状況を調査したところ、全体で「主食+主菜+副菜」が29.9%、「主食+主菜」が35.7%、「主菜+副菜」が7.1%、「主食のみ」が26.6%となり、学習前の調査より栄養バランスが後退した。しかし、A群は汁物を摂取する割合が増加し、「主食+主菜」に汁物を仮に「副菜」にカウントするとB群より良好ということができる。また、生徒に食事摂取状況の自己採点をさせた結果、A群よりB群の方が評価が甘く、1食に必要な摂取量及び内容を把握できていないことが示唆された。本授業実践では「弁当箱ダイエット法」の学習直後、及びいくつかの点で効果がみられたものの持続性の点で課題が残り、今後の検討を要する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680572067328
  • NII論文ID
    130006962406
  • DOI
    10.11549/jhee.52.0.53.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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