家庭科のねらいをふまえた住居領域の指導

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書誌事項

タイトル別名
  • teaching about dwelling space in accordance with the objectives of home economics teaching
  • active use of 3d software and providing students with incentiveto to study
  • 3dソフトの活用と生徒への働きかけ

抄録

【研究の背景と目的】<BR> 筆者は昨年度の大会ならびに例会において、授業に3Dソフトを活用すると多くの生徒が住まいに興味・関心を持つことから、ソフトによる住居領域の可能性や発展性が期待できることを発表してきた。3Dソフトの特徴は、使用法が簡便であり、教師の負担軽減となる上に、生徒と共に楽しく授業を行うことができるということである。ところでその楽しさの中には家庭科のねらいとする実生活へ活用できる要素が組み込まれていなければならない。その達成のためには、教師が3Dソフトの使用法を習得すると同時に、住まいに関する知識と技術の活かし方を理解し、授業中は絶えず目標をふまえながら生徒に働きかけを行うことが大切である。本研究は、そのあたりに焦点をあて、3Dソフトを活用して行う住居領域の指導について考察する。<BR> 【研究方法】<BR> 筆者が大学で担当した「住居学」「生活美学」「教育方法および技術」等での授業、ならびに3Dソフトに関する勉強会、また家庭科教諭に対する住居領域の夏期研修会での作品等から比較検討する。<BR> 【結果および考察】<BR> 学習指導要領では、小中高校共通して家庭科の目標を ●「実践的・体験的な学習活動」を通して ●「生活に必要な基礎的・基本的な知識と技術」の習得 ●「家族・家庭生活の意義」の理解 ●「生活の 向上を目指す実践的態度」の育成、と明示している。  住居領域において3Dソフトを活用する利点は、今日の生徒はパソコンへの抵抗感が少ないこと、また誰もが間取りを簡単に作り立体化させ得ることに興味・関心が持てることなどである。「間取り」を題材とする理由は、住生活の快適性、住生活の充実向上について具体的・総合的に考えたり理解させたりすることができ、さらに生徒ひとり一人が自分のテーマに向き合い、家族や友人のもてなし方など、生活の場を通して客観的に見つめる力がつくからである。 授業においては、以下の3点をふまえることが望まれる。<BR> 1. 学ぶための環境作り<BR> 3Dソフトを活用すること。テーマは「一人暮らしの自分の部屋をデザインしよう!」とし、課題の目的と課題に向かう方法を明示し、発表についての観点を事前に伝えておく。<BR> 2. 住生活に関する知識や技術の理解<BR> (1)間取りの作り方、起居様式・家具の選び方、室内外の立体化による確認、手直しの仕方等、3Dの使用法を習得させる。 (2)数年後を見据えた自分自身についての条件を設定させる。 (3)部屋の広さを限定し、壁・開口部の数や位置、起居様式等の特徴を理解させ、それらをふまえて自分の好みを選ばせる。 (4)インテリアデザインの基本的な要素を理解させる。 (5)評価の方法等を明確にする。<BR> 3. 生徒への働きかけ<BR> ・長期にわたる生活の変容への対応も考えさせる。  ・実生活を機能性と装飾性とから考えさせる。 ・机間指導は適切に、こまめに行う。・相互協力を勧める。 ・確認事項や注目事項は全員に的確に指示する。 以上、<自室のデザイン>という課題を通して、生徒に感じとらせたいこと(住居領域のねらい)は以下の通りである。 ●個人の部屋は自分の好みやこだわりの表現の場、管理の場である。 ●自分の夢や希望は現実の生活と無関係ではない。 ●住まいは「用と美」のバランスの中で成り立っている。 ●住まいは、人の成長、家族、環境、家計等がかかわっている。 ●住まいは「生きる力」と深くかかわっている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680572166528
  • NII論文ID
    130006962508
  • DOI
    10.11549/jhee.54.0.42.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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