ホームプロジェクトコンクールから考える指導法の課題
書誌事項
- タイトル別名
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- A Study on the Teaching Method after the Home Project Contest
説明
1 目的<BR> 高等学校家庭科において、ホームプロジェクトに代表される問題解決学習は重要視されてきたが、これまでのホームプロジェクトは「実践すること」が中心的な活動で、テーマ設定の仕方や具体的な学習の展開方法は必ずしも明らかでなく、教師は生徒の主体的な学びを引き出す学習の進め方や支援の方法に困難を抱えているように思われる。<BR> 本研究は、千葉県で実施した独自のホームプロジェクトコンクールについて、教師の意識の変化に注目し、指導にあたった教師が何を考え、どのように自分の実践を振り返ったかを明らかにし、指導法の課題を探ることを目的とする。<BR> 2 方法<BR> 千葉県では、2009年、家庭科学習の一層の充実と学校内外への情報発信のために、独自のホームプロジェクトコンクールを実施することになった。2010年5月には実行委員会を発足させ、開催要項などを検討し第1回コンクールを実施した。独自の課題用紙を準備し、「食分野」と「その他の分野」に分けて作品を募集したところ、合計で117作品の応募があった。<BR> その後、指導教員へのアンケートを実施し、指導前と指導後の意識の変化などを質問した。回収数は14である。<BR> 3 結果<BR> 提出された作品のテーマは、食分野では「食事改善」24、「病気予防」3、「食文化」5、「料理研究」42「調理実験」1、「その他(フードマイレージ、麦茶パックの再利用など)4となっており、その他の分野では、「リメイク」13、「エコ」5、「災害対策」2、「保育」4、「整理整頓」8、「その他(家族団欒,疲労回復など)5となった。<BR> 多くの教師が「今回取り組んでみてよかった」という感想を持っており、コンクールをきっかけにホームプロジェクトを指導したことで、生徒の積極的な取り組みや創造性を引き出す一定の効果はあったと考えられる。<BR> しかしその指導については「あまり得意な分野ではないので、毎年避けて通っていた」、「最初はとても不安だった」等の記述が見られ、教師自身が指導について自信を持っていないことがうかがえた。<BR> また「調べ学習(レポート)になってしまった生徒が多数いたので、もう少し指導を改善したい」、「実践を伴うように指導したものの半数近くが調べ学習に近い形で終わっている」等の記述もあり、実践と課題解決のための指導について、迷いと反省が見られることが確認できた。<BR> 一方で、漠然と課題を与えても具体的に考えられる生徒は少ないことを予測して、「授業で学んだことを振り返り、自分の食生活を見直す」とテーマの大枠を決めて指導した事例では、自分の興味に沿って課題を設定し取り組んだ生徒が見られた。<BR> さらに教師の多くは、レポート作成については、「プリントの記入例を作成した」、「教科書を参考に1枚の中で完結に記入できるようにまとめた」など生徒が取り組みやすくする工夫をしていることが分かった。<BR> 生徒自身が自ら課題を発見する学習にするためには、まだ多くの課題があるものの、指導した教師の多くが指導法の工夫の必要性に気付いたと考えられ、今後コンクールを継続する中で、さらに具体的で効果的な指導法を検討したい。
収録刊行物
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- 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
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日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 54 (0), 87-87, 2011
日本家庭科教育学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680572263936
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- NII論文ID
- 130006962623
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可