中学生の幼児への食育レッスン
書誌事項
- タイトル別名
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- Lesson of dietary education for young children by junior high school students
- introduction of parental perspective
- 保護者の視点を導入して
説明
目的:中学校の家庭科では、幼児とのふれ合い体験により、幼児への肯定的なイメージが形成されることが実証されている。今後は、ふれ合い体験の内容、あるいは事前事後の授業の組み立て方によって、どのような学びが得られるのかを検討していくことが求められる。本研究では、中学での保育学習に「食育レッスン」というテーマを設け、幼児とのふれ合いの場で中学生が食育をおこなうという目的を設定した。幼児にとって「食」は家庭が中心であり、保護者が様々な気を遣っていることが多いと考えられる。そこで、「食育レッスン」の事前事後に幼児の保護者への調査を実施し、中学生にそれを紹介することとした。本研究では、保護者からどのような資料が得られるのかをまとめ、授業への活用の仕方について検討することを目的とする。<BR> 方法:中学3年生が幼稚園を訪問し、「食育レッスン」を行うことを計画した。グループに分かれ、テーマを決めて食育レッスンの準備を進める前に、幼稚園の保護者に実施したアンケート結果を生徒に報告した。保護者には、中学生との交流について気になることを尋ねた。食育レッスンとして、生徒は栄養や好き嫌い、マナーなどをテーマにした紙芝居を作成したり劇を演じたりした。交流後、再び保護者にアンケート調査を実施し、交流についての感想を尋ねた。<BR> 結果<BR> 1.事前の調査<BR> ・「ご家庭で気をつけていること」<BR> 栄養:栄養のバランスや彩り、季節の食材を使うこと、薄味にしていることなど、実際に気を遣っている点について記されていた。<BR> マナー:挨拶、お箸の持ち方や姿勢、テレビを消して食べるなど<BR> 工夫:子どもが苦手な食材を小さく切る、好きなものに混ぜるなど食べられるように工夫していることが具体的に記されていた。<BR> お手伝い:配膳や片付けをさせていること<BR> 楽しく食べる:食事中にうるさくいわずに、楽しく食べられる工夫をしていること<BR> ・「中学生との交流について」<BR> 自分の経験:中学生が幼児だった頃や、そのとき嫌いな物をどうやって食べられるようになったかなど、大きくて元気な中学生に言ってほしい<BR> あこがれの中学生:しっかり食べると大きくなるんだとあこがれる楽しい時間:中学生と関われない幼児がいないようにしてほしい<BR> 幼児に教授:中学生が学習している内容をわかりやすく説明したり、箸の持ち方などについてマンツーマンで教えてほしい<BR> 応援:苦手なものが食べられるように応援してほしい<BR> 2.事後の感想<BR> 「○○がおもしろかった」「ほうれん草が食べられるようなった」「食に興味を持った」「楽しかった」「もっと一緒にいたかった」など、子どもの具体的な感想や、「幼児は好き嫌いがあるという前提でレッスンが行われているがそうでない子もいる」という指摘があった。<BR> 3.まとめ<BR> 保護者への調査結果から、幼児の食事について家庭で何に気をつけているのかを具体的に知ることができるとともに、自分達が期待されていることが励みとなり、中学生は授業に積極的に参加できていた。また、事後の感想から、取り組んだことへのフィードバックが得られ、食を通した幼児への理解をより深めることができていた。
収録刊行物
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- 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
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日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 54 (0), 9-9, 2011
日本家庭科教育学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680572291968
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- NII論文ID
- 130006962663
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可