インパクトファクターの仕組み-学術ジャーナル指標と論文評価について-

  • 宮入 暢子
    トムソン・ロイター サイエンティフィック

書誌事項

タイトル別名
  • The mechanism of Impact Factor: citation metrics for scholarly journals and research evaluation

説明

客観的指標に基づいた研究評価への関心とニーズが高まる中、弊社が提供するインパクトファクターが注目を集めて久しいが、その実態はあまり知られていない。弊社が継続的に開催している「インパクトファクターセミナー」の参加者に対するアンケートでは、回答者の約半数が、インパクトファクターが「どこから」「どのように」計算されているかを知らなかった。表面的な関心の高さと実質的な認識のギャップが、多くの誤解を生んでいる。 インパクトファクターは、引用索引データベースWeb of Science®(以下WoS)の収録対象雑誌に付与される「論文あたりの平均被引用数」である。ある2年間に掲載された論文数を分母とし、分子にはそれらがその後の1年間に引用された回数をとる。インパクトファクターは他の雑誌評価指標とともにJournal Citation Reports®(以下JCR)データベース上で年に一回更新されている。 日本歯科理工学会の英文誌Dental Materials Journal(以下DMJ)は2002年初頭よりWoSへの収録が開始され、JCR上では2004年に最初のインパクトファクターが付与された。当時、自誌引用率の高さが原因でJCRへの収録が取り止めとなった雑誌が相次いでいたが、DMJ誌についても同じ問題がみとめられたため、2006年よりJCRの収録より外れたまま、現在に至っている。 本来、学術雑誌を選択する際の単純な「目安」として利用が提唱されたインパクトファクターが、なぜ「研究の質」や「雑誌の格」を示すものとして広まったのか。なぜそれを取得することが、あたかも学会や雑誌自体の「目標」であるように錯覚されているのか。なぜ自誌引用の高さが問題となるのか。 こうした疑問にこたえるため、本講演ではインパクトファクターの仕組みや学術雑誌指標の本来の利用目的とその意義について紹介する。また、引用データのよくある誤用例、特に論文レベルでの引用分析と雑誌指標の違いについても解説する。本講演がDMJ誌の将来について考える一助となれば幸いである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680572946176
  • NII論文ID
    130006963311
  • DOI
    10.14832/gsjsdmd.2009s.0.4.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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