男子校中・高校生は父・母親役割をどのように捉えているか
書誌事項
- タイトル別名
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- Boy's Junior and Senior High School Students' Perceptions of Fathers' and Mothers' roles
- Comparison with Coeducational School Students' Perceptions
- 共学校との比較検討
説明
目的<BR> 男女共学必修家庭科が告示され(中学校・高等学校学習指導要領1989年)、中・高校男子生徒を含む保育教育がスタートしてから20年近く経過した。保育教育の目標の一つに、「親になるための教育」が挙げられるが、男女で学ぶ保育教育が、男子生徒の「親性準備性」の育成を促進している知見も複数報告されている。ただし、一部の男子進学校において家庭科の未履修が顕在化する(2006年)など、男子生徒をめぐる問題点も指摘されている。家庭科は必修科目であり、国民教育としての役割を担っている以上、男子校の家庭科の保育教育を検討することは、重要な教育課題だと考える。<BR> そこで、本研究では、男子校の男子中・高校生の「親性準備性」に焦点をあて、質問紙調査を実施し、共学校と比較することにより、課題を明らかにすることによって、保育教育のカリキュラム構築のための基礎資料を得ることを目的とする。<BR> 方法<BR> 東京都にある国立・私立男子校の中学生193名、同じく東京都にある国立・私立および埼玉県立の男子校の高校生525名に質問紙調査を実施した。また、共学校との男子との比較考察、さらには女子との性差を確認しておくために、東京都・千葉・神奈川の国立・公立共学校の中学生251名(男子126名・女子125名)、高校生290名(男子126名・女子139名)にも質問紙調査を実施した。実施時期は、2009年12月~2010年2月である。<BR> 本研究の目的に沿って、親性準備性を測るための中心的指標を、「親役割をどのように捉えているのか」とし、質問紙は、「父親役割認識」「母親役割認識」を測る尺度、「親になることの受容性」「幼児への興味・関心」「男女平等志向性」を測る尺度で構成した。<BR> 分析・考察<BR> 父親役割認識について、男子校・共学校別に因子分析を実施した結果、男子校では、「仕事をし、家族と一緒に過ごす」「子どもを導く」「家事育児をする」「一家をリードする」「自分自身が楽しむ」の5因子が抽出できたが、共学校では、「ロールモデルとなる」因子を加えた6因子が示された。<BR> 母親役割意識についても同様に分析をおこなった結果、男子校では4因子、共学校では5因子が抽出された。これは、母親に関しては、「子どもを導く」と「ロールモデルとなる」が一つの役割として認識されていること、男子校ではさらに「自分自身が楽しむ」「仕事をする」「父親の支えになる」が一つの因子を構成しているためである。このことから、男子校は、親役割を包括的に認識していること、母親役割については、共学校とは多少異なった捉え方をしていることが示唆された。性差を確認するために、さらに男子校男子と共学校男子・女子に分けた分析も実施していく。<BR> また、父親・母親役割認識にどのような要因が影響を及ぼしているのかを調べたところ、例えば、男子校において、父親における「仕事をし、家族と一緒に過ごす」役割には、「親になることの受容性」「男女平等志向性」が有意に関連しており、「家事育児をする」役割には、それに加え「幼児への興味・関心」も有意に関連している等、父・母親役割認識には、さまざまな要因が影響を与えていることが示された。さらの共学校との比較や、性別の比較をした上で、得られた知見をもとに、男子校の保育教育に関する提案を行っていく。
収録刊行物
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- 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
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日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 53 (0), 67-67, 2010
日本家庭科教育学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680573284352
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- NII論文ID
- 130006963696
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可