聖書の中の宝石

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  • 下村 道子
    お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科比較社会文化学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Gemstones in the Bible

抄録

聖書には数多くの宝石が記載されている.それらは希少で,美しく,貴重なもの,そして聖なるもののシンボルとして語られている.たとえば,旧約聖書の「出エジプト記」の中では,祭司の聖なる祭服に威厳と美しさを添えるために,12個の宝石を裁きの胸当てに留めつけることと,胸当ての素材の色や大きさ,宝石の名前や配列が記述されている.しかし,この宝石の名前と順序は聖書の版によって異同がある.一例をあげると,16世紀に英訳された『ジュネーブ版聖書』と,17世紀の英国王ジェームズ1世の『欽定訳聖書』と,現在の英語の『ニュー・インターナショナル版聖書』では,たとえば12個のうちの最初の宝石は,それぞれ,ルビー,サルディウス,ルビーとなっており,その他いくつかが異なる.さらに,日本語訳の聖書においても,大正時代の版と,戦後に翻訳された『口語約聖書』,そして1987年に完成した最も新しい『新共同訳聖書』では,最初の宝石は,それぞれ,赤玉,紅玉髄,ルビーであり,多くの違いがある.宝石の名称に関しては,現在は用いられていないものや,現在とは異なる宝石を指していたと考えられるものもある.<BR>  こうした聖書中の宝石を取り上げた研究は,G.F.クンツ博士をはじめとして,少なくはない.本発表は,聖書の英語及び日本語の翻訳の歴史をたどりながら,旧約聖書の「出エジプト記」の中の祭司の胸当ての宝石と,新約聖書の「ヨハネの黙示録」の中の新しいエルサレムの城壁の土台石などを考察してゆく.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680574007552
  • NII論文ID
    130004729830
  • DOI
    10.14915/gsj.35.0.11.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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