デザインによる「付加価値」とは何か?

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タイトル別名
  • What is the additional value by means of design?
  • マルクスの労働価値説にもとづく「付加価値」の分析
  • Analysis of additional value on the basis of Marx's economics theory

抄録

デザイン論においては、経済的価値と個人的価値観とを区別することが少ない。しかし、付加価値とは何かを分析するためには、この区別が必要である。マルクスの労働価値説によれば、ある生産物の価値とは、それを作るために要した、社会的に平均的な労働時間で示される。しかし、商品経済社会においては、商品の価格は直接価値に基づいて設定されるのではなく、需要と供給の関係で決まる。したがって市場価格は買い手の主観的価値観に依拠して売り手が決めるといえる。付加価値とは、実際の価値より遥かに高い価格を買い手の主観的価値観に訴えて設定することを可能にする方法であるといえる。 現在の資本主義経済体制では、経済恐慌の要因である過剰資本の蓄積を過剰消費によって処理するシステムが確立されており、デザインによる付加価値もそのための消費拡大の手段として用いられている。しかし、消費を拡大させないと成り立たない現在の資本主義経済体制は、その必然的帰結として他方で資源エネルギーの無駄遣いや深刻な環境破壊を起こしている。今後こうした事実を直視した新たなデザイン論が必要であろう。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680585336448
  • NII論文ID
    130005453532
  • DOI
    10.11247/jssd.59.0_136
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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