青森県内で保護されたニホンカモシカにおけるマダニおよび住血原虫の寄生

書誌事項

タイトル別名
  • Survey of the ticks and hemoprotozoan parasites in Japanese Serow protected in Aomori prefecture

説明

ニホンカモシカCapricornis crispus は本州、四国、九州の低山帯から亜高山帯に分布するが、近年生息域を平野部まで広げていることから食害による林業や農業への被害が問題となっている。2001~2004年に青森県内で交通事故や衰弱などの理由で保護されたニホンカモシカについて、体表に寄生するマダニおよび血液内に寄生する原虫を調べた。推定2~10才の計14頭(♀4頭、♂10頭)を対象に、体表で吸血するマダニを成ダニ中心に約30分間採集した。うち12頭については、頸静脈より採血後、血液塗抹ギムザ染色標本を作製し鏡検した。その結果、13頭の個体にマダニの寄生が認められ、それらはヤマトマダニIxodes ovatus(♀、♂)、シュルツエマダニI. persulcatus(♀、♂)、キチマダニHaemaphysalis flava(♀、♂)、ヤマトチマダニH. japonica(♀、♂)およびヒゲナガチマダニH. kitaokai(♀)の2属5種であった。最も多く認められた種はヤマトチマダニで9頭のニホンカモシカに寄生が見られ、ついでヤマトマダニが7頭に寄生していた。血液塗抹標本では、12頭すべてにTheileria原虫の寄生が認められた。寄生率はいずれの個体においても低く、0.002~0.44%の範囲であった。これらの結果から、ニホンカモシカにおいてTheileria原虫感染が広まっていることが示された。今回寄生が認められたマダニによる本原虫の媒介性は明らかではないが、今後詳細に検討していく必要があると考えられた。なお、本研究は青森県の協力により実施した。関係各位に深謝する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680597405056
  • NII論文ID
    130005478390
  • DOI
    10.11536/jsmez.63.0_60_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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