北海道十勝地方におけるクロバエ類の発生動態と生活史-3年間の結果-

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タイトル別名
  • Seasonal occurrence and life histories of blow flies (Diptera, Calliphoridae) -Results of 3 years surveys-

抄録

北海道のクロバエ類の発生動態と生活史を明らかにすべく, 2007 から2008年に十勝地方で行った平地(70m),鶏舎(70m, 160m),日勝峠中腹(500m),日勝峠頂上(1000m),大雪山黒岳(1850m)での調査に加えて,2009年には剣山の3地点(400m,850m,1150m)と黒岳(1850m)で調査を行った. ハエの捕集には腐肉を用いた予研式トラップを使用し,成虫と幼虫を捕獲した. 幼虫は羽化のためにトラップ近くに置いた羽化トラップに移した.採集した成虫は種を雌雄に分けて同定し,個体数,卵巣発育段階,受精嚢の精子の有無を調べた. 剣山で捕集されたクロバエ類は6種で,最も優占したミヤマクロバエは,400m地点で9月と10月に著しく多く捕集されたが,他の地点では少なかった.オオクロバエは,いずれの地点でも少なかったが,7月の400m地点でやや多く捕集された. 3年間の調査で,ミヤマクロバエの羽化トラップにおける羽化は,2007年8月に日勝峠の500m、 2008年8月に黒岳の1850m,そして2009年6月の黒岳(1850m)では前年の越冬幼虫から確認された.オオクロバエでは,日勝峠の2007年8月の500mと2008年8月の黒岳の1850mで羽化が確認された.これらのことから,北海道においてミヤマクロバエは,夏に中~高山帯で繁殖し,秋に山を下る個体群と高山部で幼虫で越冬する個体群の両方がいること,オオクロバエは,夏に中山帯及び高山帯の両方で繁殖できることが示唆された.フタオクロバエも,日勝峠の500m,剣山の1150mおよび黒岳の1850mの3地点で羽化が確認された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680597493888
  • NII論文ID
    130005478406
  • DOI
    10.11536/jsmez.63.0_76_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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