鹿児島県徳之島で採集したアマミムナゲカ雄成虫,蛹,幼虫,卵について

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  • On the adult male and immature stages of <I>Heizmannia kana</I> Tanaka, Mizusawa and Saugstad (Diptera: Culicidae) collected from Tokunoshima, Kagoshima

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抄録

鹿児島県徳之島・当部の森林内で昼間吸血に飛来した蚊数種の中にHeizmannia属の蚊を見出し,検索の結果, Heizmannia kanaの雌成虫と同定された. 本種は1979年, 田中和夫らにより奄美大島で吸血飛来した雌成虫を採集し,新種として記載された奄美特産種である. 雄成虫,蛹,幼虫は現在に至るまで記載されていない. 演者らは徳之島の森林内で竹切株,樹洞,人工容器の水溜りを採集したが本種の幼虫は発見できなかった. そこで ,吸血飛来した雌に十分血を吸わせた数個体の雌を小容器に入れて大学の研究室に持ち帰り産卵を試みた. 吸血6日目にぬれた厚紙に約20卵粒が産卵,数日後に瞬化し,卵,幼虫,蛹,雄雌の標本を得,各ステージの形態を近縁種と比較した. 結果,雄の生殖器に本種の特徴(distal claspetteの先端に1本長い毛と 1本の鋭い subapical spineがある)が見られた . 本種の卵は完全な乾燥には耐えることができないが,湿潤の厚紙の上では 1ヶ月間は卵殻内で生存していた. 本種の卵は竹切株や樹洞の湿潤状態内壁で越冬すると思われる. 成虫は森林内でしばしば人にふわふわ飛来(hovering)し,差し出した手足に着地を繰り返し,ゆっくり吸血を完了した. 普段は昼間,休息中の猪などを吸血していると思われる .

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